いよいよ10月24日にプロ野球ドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。4年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人はどのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
バランス型
【補強ポイント】
●菅野智之の後継者になり得る次代のエース候補
●スケールの大きな内野手候補
【理想の指名】
1位:金丸夢斗(投手/関西大)
2位:宇野真仁朗(内野手/早稲田実業)
3位:宮原駿介(投手/東海大静岡キャンパス)
シーズン終盤までもつれたペナントレースを制し、2020年以来のリーグ制覇を成し遂げた巨人。チーム打率.247が12球団中4位、OPS.658が同5位と打線は上々で、チーム防御率も12球団トップの2.49と極めて優秀。先発陣が試合を作り、強力なリリーフ陣が試合を締める理想的な布陣を形成したことが優勝の要因だった。投打ともに喫緊の補強ポイントはないように見えるが、将来に目を向けると編成上の課題は少なくない。
まず、今季見事な復活を遂げた菅野智之は、今オフにメジャーリーグ移籍を目指すことを表明。実現すれば、先発の補強は急務となる。昨年のドラフトでは即戦力の社会人出身選手を多く指名したが、今季の戦力強化への結びつきは薄い形だった。今季未登板の森田峻哉(2位)や、3登板の又木鉄平(5位)に菅野の活躍を代替するような期待は難しい。野手陣では、正捕手の大城卓三が国内FA権を取得。主砲の岡本和真も将来的にはMLBを志望していることを想定すると、スケールの大きな内野手の有望株も獲得したい。そのため今年のドラフトでは、やや先発に重きをおきつつも、バランス型の指名を心掛けたい。
まず1位は、金丸夢斗(関西大)が最上位の選択肢となるだろう。ストレートと変化球を含めた球質は大学生離れしており、制球力も高い。競合必至だが入札しない手はないだろう。仮にくじ引きに敗れた際は、似た特長を持つ佐藤柳之介(富士大)への入札がオススメだ。
2位では、宇野真仁朗(早稲田実業)を推したい。高校生にして木製バットを操りながらホームランを量産し、内野手に必要な俊敏性も兼ね備える。全国の舞台だけでなくU-18も経験し、実績としても申し分ない。次世代を担う選手として抑えておきたい高素材だ。
3位では、宮原駿介(東海大静岡キャンパス)をオススメしたい。浮き上がるようなストレートと角度ある変化球のコンビネーションが持ち味。先発としてイニングを消化するスタミナもあるが、大学代表選考合宿ではリリーフ適性も発揮して器用さをみせた。起用に幅を持たせる即戦力候補として、活躍が期待できるだろう。
文●ARA
【著者プロフィール】
Twitterでドラフトイベント「VD4B」「ヨソドラ」を主催。雑誌/野球太郎のモックドラフト立案者。主に打撃を得意分野とし、中学生を中心とした野球指導にも携わる。X(旧ツイッター)IDは@arai_san_28。
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