「感情を抑えることが重要だ」 米国GPで「以前の面影が見られた」角田裕毅に対して各国の専門メディアが厳しい指摘…スプリントについては高評価も

 F1第9戦のアメリカ・グランプリで、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、スプリントでは11位、本戦の決勝では14位に終わり、ポイントを獲得することはできなかった。

 土曜日は可能な限りのパフォーマンスを発揮したもののライバルとのペースの差に悔しさを味わった角田は、決勝ではすぐにポジションを上げるなど序盤は良かったものの、ミディアムからハードへのタイヤ交換は良い結果をもたらさず、この週末に再デビューしたチームメイトのリアム・ローソンにオーバーカットを許し、さらに終盤にはピエール・ガスリーとのバトル中にスピンを喫して入賞の可能性は潰えた。

 戦略の失敗を指摘する一方で、スピンやアレクサンダー・アルボンを押し出したことで5秒ペナルティーを科せられたことについては自身のミスを認めた角田。チームメイトが最後尾からスタートして9位入賞を飾ったこともあり、悔しさのつのる週末となったが、現地メディアの評価も厳しいものとなっている。

 英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、10点満点の採点で及第点に満たない「5.5」を与え、「ローソンが自分の前に出たことで苛立ちを見せたが、それはRBのせいではなかった。トラックリミットの問題でペナルティーを受け、その後ローソンに追い越されたことでフラストレーションがたまり、レース中にスピンしてしまった」と、ネガティブな寸評を綴った。
  同国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』は「6.5」と比較的高い採点としたものの、「チームが採用した戦略に対して不満を抱いていたが、ターン1でのスピンによってポイント圏内でフィニッシュするチャンスを失った。スピードはあったものの、上手く噛み合わなかった」と、厳しい記述に終始している。

「5.5」を付与した『MOTORSPORT WEEK』は、「ローソンはF1再デビューのレースで、全てのルーキーがチームメイトに対して狙っているものの、決して公然とは認めないことを成し遂げた。それは、相手を苛立たせることだ」と、ニュージーランド人ドライバーの働きに言及した後、チーム内対決に敗れた“先輩”については以下のように指摘した。

「RBの経験豊富なドライバーは、序盤の数周は順調に走行し、最初のラップで2つポジション上げたが、唯一のピットストップ後に後退し、ローソンが自分を抜いた理由に困惑した。失望の14位で終わることを余儀なくされたが、もし角田がレッドブルのシート争いに残りたいのであれば、自分の感情を抑えることが重要だ」 同採点の『TOTAL MOTORSPORT』も、「角田にとって惜しい週末に。ローソンとの再戦は、ミスが多すぎたことでレースが台無しになってしまった。ただ、2022年のハンガロリンクでダニエル・リカルドと初めてペアを組んだ際にも初戦ではチームメイトに負けたものの、その後は上手く立て直している。メキシコGPを前に気持ちをリセットする必要がある。テキサスでは、『以前の角田』の面影が多く見られたからだ」と、感情のコントロールの必要性を訴えている。

『Race Fans』は、「チームを牽引することが期待された週末だったが、最終的には復帰したばかりのローソンに輝きを奪われた。早めのピットストップで中団に埋もれてしまったことに不満を抱いていたが、ターン1でのスピンについてはチームを責めることはできない。全体的には悪くない週末だったが、もっと良い結果を出すことができたし、そうすべきだった」として、採点は「5」止まりだった。

 オランダのF1専門サイト『RN365』『GPBLOG』はいずれも「6」の及第点で寸評はなし。スペインのF1専門サイト『F1i.com』は「5.5」を付与して、「この週末、角田の個人的な目標は復帰したチームメイトに負けないことだった。スプリントではその目標を達成したが、ポイントを獲得するには至らなかった」と寸評を綴り、決勝についての総括も厳しいものとなっている。

「そして日曜日、比喩的に言えば『車輪が外れた』状態となり、トラックリミットを回避するのに苦労し、最終的にはスピンしてトップ10圏外から脱落。全体的に見て、角田はRBの新たな体制や新しい競争相手にあまり快適さを感じていない様子だった」
  インドのスポーツ専門サイト『sportskeeda』の採点は「6」で、「オースティンでは未熟さを見せてしまい、レッドブルのシート獲得に対する逆風をさらに強める結果となってしまった。速さはあったが、あまりにも多くのミスを犯してしまい、それが最終的に彼に大きな代償を支払わせることとなった」と、ネガティブに振り返った。

 そして、今回も採点ではなくランキングで各ドライバーを評価したのが、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』で、角田は「16位」にランクイン。「スプリントでのパフォーマンスは力強く、予選では9番手と好位置につけ、決勝ではより速い車に2つのポジションを譲っただけだった」と土曜日までの日本人ドライバーには好印象を示したものの、決勝での失望が週末全体をネガティブなものとしてしまったと指摘している。

「準備も整い、決勝では10番手からスタートし、第1スティントでは8番手を走行していたが、18周目にハードタイヤに交換したことがミスとなってポジションを落としてしまい、さらに、ターン1でのスピンが最終的にポイント獲得のチャンスを完全に失わせた。戦略的なミスとスピンが、彼の良いパフォーマンスを台無しにした」

構成●THE DIGEST編集部

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