バレーボールのイタリアリーグ・スーペルレーガで4シーズンを過ごしたミラノからペルージャへ拠点を移し、新たなスタートを切った男子日本代表の石川祐希。チームが開幕4連勝を飾ったチステルナ戦後の背番号14を本拠地パラバルトンでインタビュー取材した。
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セッターのイタリア代表シモーネ・ジャンネッリが腹筋の負傷により出場せず、代わって同胞フランチェスコ・ゾッペッラーリが司令塔を務めたペルージャ。勝利で試合を終えたが、第1セットは相手のサーブが好調だったこともあり、序盤から最大6点のビハインドを負って苦戦した。コンディションの関係で前節に続きベンチスタートだった石川は3-8からコートに立つと、レフトからの鮮やかなストレート弾でイタリア通算2400得点目をマーク。その直後には、スター選手揃いのチームがすでに一目置く守備で味方の得点を引き出しチームを鼓舞したが、ブロック上から打ち込んだスパイクがラインを割る場面も。以降、ペルージャは形勢を覆すに至らず再び点差が開いて試合先行を許した。
石川は途中交代でのパフォーマンスを、「流れが来かけたところでラリーをとられてしまったりとか、(流れに)乗り切れなかったなと…。スパイクもアウトを打ってしまったので、そこは修正が必要かなと思います。この試合は出場の可能性が途中からだったので、流れが悪い状況や点数が離れない限り交代はないかなと思っていました。そういう場面で少しでもいい流れを呼び込みたいという気持ちでコートに入ったのですが、最終的に点差が縮まらなかった。反省しなければいけない」と振り返り、自らを厳しく評価した。
何よりも気になっていたのは、現在のコンディションだ。シーズン最初の大舞台、連覇がかかったスーペルコッパの準々決勝で第1セット中盤に左脚の筋肉を負傷したウクライナ代表OHオレフ・プロツニスキーと交代。期待に応えるパフォーマンスで決勝へチームを導き、頂上決戦ではMVPに輝く大活躍で優勝の立役者となった。その後、レギュラーシーズンでも開幕戦から先発フル出場を続け、第2節で連勝に尽力して再びMVPを受賞。新天地で適応に苦労する選手が多いなか、結果を出しながら連戦をこなした。
兼ねてから抱える腰痛。負担がなかったはずはなく、疲れがあったのでは? と問うと、「(原因は)疲労だったと思います。ウエイト中にやってしまって…」と回答。練習は制限を設けながら続けていたことを知り、現状を尋ねると、「(この試合の)2日前からフルでやっています」と明かし、朗報に胸をなでおろした。思わず「よかった!」と漏らすと、笑顔でうなずいてくれた。
インタビューする筆者の表情が心配から安堵へ変わるのを近くで見ていたチームドクターのロベルト・サバティーニ医師が声をかけてくれ、「ユウキのことが心配なんだよね。しっかりケアしているから任せて! 安心していいよ」と順調な回復に太鼓判。完全復帰は近づいているようだ。
次戦は、スクデット(優勝)争いの筆頭候補トレンティーノと敵地で直接対決。11月からは欧州王者を決めるチャンピオンズリーグが幕を開ける。
本格化するシーズンへ向けて、「まずは、コンディションをしっかり上げていければと思っています。今日のような出場パターンが増えると思うので、出た時にしっかりやって、たくさん起用されるようにしたいです」とコメント。
「やるべきことをしっかりやるしかないので、良いプレーだろうが悪いプレーだろうが関係なく、コートに入ったら自分のパフォーマンスをしっかりと出し切りたいと思います」と力強く締めくくった。
いくつもの王座を狙うペルージャにとって、過密日程へ突入するこれからこそ “ユウキ・イシカワ”の存在が不可欠なはず。コートを縦横無尽に舞うその姿を楽しみに復帰を待ちたい。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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