新時代を築く『Yonex Performance Innovation Center』誕生!元世界王者ヒューイットらが先端技術を体験<SMASH>

 新潟県長岡市の中心街から、車で走ること、約30分――。

 風光明媚な丘陵地帯に、忽然としてモダン建築物が姿を現す。その真新しい施設の眼下には、世界基準のハードコート、天然芝、そして赤土のコートが広がる。さらに隣に建つのは、ヨネックス社の新潟工場長岡。

 今年7月に運用開始となった建造物の名は、『Yonex Performance Innovation Center (ヨネックス パフォーマンス イノベーションセンター)』。最新機器を活用してプレーヤーたちのパフォーマンスを解析し、得られたデータを用具開発に活用するための、研究・開発施設である

 去る9月末、この新施設に元世界1位のレイトン・ヒューイットさんと、グランドスラム3度の優勝を誇るスタン・ワウリンカ、そしてキャリア最高位27を記録するトマスマルティン・エチェベリが訪問。様々なテクノロジーを用いた、パフォーマンス分析を体験した。

 三選手が行なったのは、センサーやホークアイを用いた打球およびラケット軌道解析。重量バランスの異なるラケットを使い、異なる条件下でのデータ収集も行った。

 加えてヒューイットさんとエチェベリは、モーションキャプチャーでのサービスフォーム解析も体験。関節部を中心に全身20か所、さらにラケットにもマーカーを付け、動きを詳細に数値化した。
  データ分析後には、研究スタッフから両選手への説明が。左足で地面を蹴る力が弱いという結果を見ながらヒューイットさんは、「僕はキャリアの終盤に足のつま先を手術しているので、この数値は驚きではない」と納得顔だ。

 他方でエチェベリは、蹴る力が思いの他低かったことに、ややショックを受けた様子。

「もっと脚力はあると思っていた。蹴る力を上げるには、どうしたら良い?」と質問する一幕もあった。

 これら選手たちから収集したデータとフィードバックを活用し、隣接する工場で最短24時間以内に試作品を製造することが可能だという。モノづくりのプロセスとは、挑戦とテスト、失敗と改善のくり返し。ヨネックスの狙いは、このサイクルを加速し「失敗のスピードを促す」ことにあるという。
「伝統とは革新の連続」とは、世間で知られるうたい文句。伝統工芸の町として知られる長岡市で、イノベーション新時代の扉が開く。

取材・文●内田暁

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