清水エスパルスの歴代ベストイレブンを選ぶなら誰か? サッカーダイジェスト本誌の企画でレジェンドが答えてくれた。本稿では“アカデミーの最高傑作”市川大祐氏が選出した栄えある11人をお届けする。
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自分が清水でプレーし始めた1998年から、中堅に差し掛かった2000年代後半まで、数え切れないほどの選手と関わらせてもらっただけに、難しいですね。本当は、年代別で決めさせてほしいくらいです(笑)。
ただ、印象深いのは、やはり若い時に一緒に戦った先輩たちです。自分がプロでやっていけたのは、偉大な背中、姿勢を見て成長できた点が本当に大きかったです。当時の清水はまさに“黄金期”で、前から後ろまで、どこを取ってもJ屈指のタレントばかり。そりゃ、毎年のようにタイトル争いができますよね。
守備陣から挙げていくと、まず真田雅則さんは安心感がありました。今でこそ、当たり前のようにGKに足もとの技術が求められますが、真田さんは昔から上手く、シュートへの反応速度も一級品。攻守のバランスが良い選手でした。
また、全体が上手くいっていない時間帯に、真田さんがひと声かけるだけでチームが落ち着くような、リーダーシップのある方でもありましたね。
CBは、齊藤俊秀さんと森岡隆三さんが鉄板。常に攻撃的なサッカーを目ざしていたなかで、後ろにふたりがいると、より思い切って前に出られるんです。戸田和幸さんは中盤のイメージも強いけど、ボランチに入れたい選手が多すぎるので、今回は3バックの一角とさせてください。
右ウイングバックは安藤正裕さんと最後まで悩みましたが、僕を入れさせてもらいます(笑)。ボランチは、やはりサントスの存在感が別格でしたね。プレーヤーとしても素晴らしかったですし、プロになったばかりの自分に“プロとはこうあるべきだ”と、背中で見せてくれた選手。
ウォームアップのブラジル体操も、手足の指先まで神経を通わせて、繊細に、かつ大きく身体を動かす。準備から一切手を抜かない、人として素晴らしい方でした。
中盤の底のもう一枚は悩ましいですね。藤本淳吾や兵働昭弘、本田拓也も捨てがたいですけど…やっぱりテルさん(伊東輝悦)。自分が清水に在籍したすべてのシーズンで一緒に戦って、お世話になりました。今でも現役でプレーされている点も含め、尊敬の念しかないですね。
左はアレックス(三都主アレサンドロ)です。清水だけでなく、02年の日韓ワールドカップでもともに戦いましたが、彼もサントスと同様、人として素晴らしかった。
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前線3枚は、ノボリさん(澤登正朗)とオリバは決まり。ノボリさんは、自分がアカデミーにいた頃からチームの中心としてプレーされており、キャプテンシーや勝負強さ、テクニックの面でも非常に印象に残っています。
また、オリバも清水を語るうえで欠かせない選手。昔は今のボールと違って、ブレ球になることはあまりなかった。でも、オリバのシュートはブレていました。GKからすれば、どう対応すればいいか分からなかったと思いますよ。理不尽に得点する、規格外の存在でした。
1トップも候補が絞り切れません。チョ・ジェジンやヨンセン、マルキーニョスも圧倒的な能力を持っており、チームへの貢献度という意味では、02年の天皇杯優勝メンバーである久保山由清さん、安永聡太郎さんも入れたい。
ただ、ここは岡崎慎司を選びます。候補に挙げた選手たちにも共通しますが、特に岡崎は、ボールを呼び込める選手。相手にとって嫌な場所に入っていけるし、クロスのイメージを描かせてくれるようなプレーヤーでした。
監督は、もちろんオジー(オズワルド・アルディレス)ですね。特に印象的だったのが、助っ人たちのマネジメント。オリバは人柄も良かったですけど、エースとして我の強さも持った選手でした。もしかしたら“王様”のようになってしまう可能性もあったかもしれないですけど、オジーが上手くコントロールして集中させ続けたからこそ、彼も良いプレーができたんじゃないかなと。
改めて振り返ると、11人中、岡崎を除いた10人が自分のプロ入りの時にいた選手ですね。もちろん、20代後半に差し掛かってから共闘させていただいた小野伸二さんや、自分が引退した後に清水に加わったドウグラスらも、本当はベストイレブンに選びたいレベルの選手。ただ、自分のプロとしての基盤を作ってもらった90年代後半から2000年代前半の選手には、今でも感謝しています。
※サッカーダイジェスト2024/11月号から転載・加筆。
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