【MotoGP】イアンノーネの5年ぶりMotoGP代役復帰は「失った全てに対するご褒美」とドゥカティ幹部

 MotoGPマレーシアGPではアンドレア・イアンノーネがファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)の代役として5年ぶりにMotoGPへ復帰する。ドゥカティのジジ・ダッリーニャ(ゼネラルマネージャー)は、これがドーピング疑惑によって失った4年間に対してのご褒美や報いるものだと語った。

 ジャンアントニオは今年のオーストリアGPで転倒した際に負傷した肩の手術を受けるため、シーズンラスト2戦の欠場が決定。その代役としてVR46とドゥカティは、ドーピング疑惑で2019年に追放されるまでMotoGPに参戦していたイアンノーネが適任だと判断した。

 イアンノーネはドゥカティと長期にわたる関係を築いており、2013~2016年にはドゥカティからMotoGPに参戦していた。そして2024年にドーピング疑惑の4年間の追放処分が解けたあとは、WSBKにドゥカティ陣営から参戦を果たしている。

 ジャンアントニオの欠場によってMotoGP復帰のチャンスを得たイアンノーネ。ドゥカティ幹部は5年前からは大きくバイクが変わっていることもあり、今回の参戦では”楽しむこと”をイアンノーネに期待していると語った。

「アンドレアに我々が期待しているのは、彼が楽しんでくれることだ」

 ゼネラルマネージャーのダッリーニャは、そう語った。

「パフォーマンス面については、長い間MotoGPバイクから離れていて、タイヤも知っていたモノとは大きく異なっていて、テストもしていないライダーに何かを求めることはできない」

「これは過去数年間、彼ができなかったこと全てに対するご褒美であり報いであるべきなんだ」

 なおドゥカティのスポーティングディレクターであるマウロ・グラッシーリは「彼は素晴らしいショーを示せると信じている」と語っている。

 そしてVR46のチームマネージャーを務めるパブロ・ニエトは、ドゥカティ幹部のコメントに共感しており、イアンノーネには現代MotoGPバイクの経験が不足しているため、ライバルと肩を並べる事はできないだろうと語った。

 ただニエトは2024年にWSBKにサテライトチームで参戦開始したばかりにもかかわらず、5回の表彰台と1勝を記録していることからも、イアンノーネの才能に疑いはないと考えている。

「アンドレアが楽しんでくれることを願っているよ。そして同時に、我々として彼はこれまでテストをしていないため、複雑な状況になるだろうということも理解している」

 ニエトはそう語った。

「彼が素晴らしい才能の持ち主であることは分かっている。過去にとても速いライダーであると証明してきているんだ」

 そんなイアンノーネは、マレーシアGPのFP1では5年ぶりのMotoGPにもかかわらず9番手タイムをマーク。トップのフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)からは約1.9秒差と差自体は大きいものの、ブランク空けの初乗りでこの結果は、驚異的なパフォーマンスを発揮していると言えるだろう。