ハミルトン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bでセナ追悼ラン実施へ「話を聞いて飛びついたよ!」ヒール&トゥにも郷愁

 3度のF1世界チャンピオンであり伝説的なドライバーであるアイルトン・セナがこの世を去ってから30年となった今年。彼の母国ブラジルで開催されるサンパウロGPでは、追悼イベント「SENNA SEMPRE」が実施される。

 このイベントでは、セナと深い繋がりを持つマクラーレンとホンダが協力し、1990年シーズンにセナがF1ドライバーズチャンピオンに輝いたマクラーレンMP4/5B・ホンダのデモ走行を実施する。ステアリングを握るドライバーは“シークレット”とされてきたが、グランプリ開催に向けて7度のF1世界チャンピオンであるメルセデスのルイス・ハミルトンがドライブすることが明らかとなった。

 幼少期からセナに憧れF1を夢見たハミルトン。マクラーレン時代には、1988年のMP4/4をシルバーストンで走らせたり、セナをモチーフにしたヘルメットを着用したりしていた。また、セナのポールポジション記録に並んだ2017年のカナダGPでは、セナの家族から本物のヘルメットが贈られ、2022年にはブラジル名誉市民権が授与された。

 木曜日に行なわれたFIA記者会見でMP4/5Bドライブについて尋ねられたハミルトンは次のように答えた。

「ここでセナのマシンに乗れるなんて、全く考えられなかった。でも、ある人から連絡をもらって、マネージャーから話を聞いて、そのチャンスに飛びついた」

「その昔、マクラーレンにいた時に、MP4/4でシルバーストンを走るチャンスをもらったことがある。信じられなかったよ」

「でも、あのマシンでここを走れるなんて……彼がここで優勝し、旗を掲げていたレースを思い出すと、間違いなく感動的な体験になるはずだ。みんなにも見てもらいたいね」

「彼のヘルメットを僕のために作ってもらったけど、それを使うかどうかは分からない」

「最初はサプライズにしたかったんだ。白いスーツに彼のヘルメットを被って走ったら、まるでそこに彼がいるように見えたはずだ。でも、どういうわけか、それが公表されてしまった。秘密にしておくことなんて不可能だよ」

 F1では長らくパドルシフトが採用されているが、MP4/5BはHパターンのマニュアルだ。MT車のスポーツ走行には欠かせない“ヒール&トゥ”のスキルはどうかと訊かれたハミルトンはこう答えた。

「いつもヒール&トゥをしているよ。だから……いや、若い頃はかなり上手かったし、MP4/4を走らせた時もできていた」

「懐かしいね。今のF1にもあったらしいのにな。2ペダルなんてエキサイティングじゃないし、Hパターンを復活させる必要がある。あれは最高だったよ」

 なお、ハミルトンは11月2日(土)の現地時間17時からSENNA SEMPREの一環として、MP4/5Bのデモ走行を実施する予定だ。