芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。10月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。
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代表戦もあり、試合数が少なめかつバラつきがあった10月のJ1リーグ。ゆえに、順位や数字などあまり気にせず(いつもあまり気にしていなけど)、平均点的なことより、インパクトやシーズン終盤のプレーの重みを重視して勝手にベストイレブン、MVPをセレクトします。
スタメン起用から無失点が続き、今月2試合も無失点だったアビスパ福岡の永石拓海は安定のパフォーマンス。鹿島アントラーズの早川友基も10月、2試合無失点と結果を残した。ただ、10月のベストイレブン、GKはジュビロ磐田の川島永嗣。34節・セレッソ大阪戦。2-1のリードで迎えたアディショナルタイム。C大阪にPKが与えられ絶体絶命のピンチ。そこに立ちはだかったのが川島。見事にPKを止めチームに勝点3をもたらした。
試合終了の瞬間、チーム全員が川島のところに集まり感情が爆発。その輪の中で吠える川島の表情が感動的だった。厳しい順位状況には違いないが、チームに関わるすべての人に希望をもたらしたPKストップは、単なる1試合というよりシーズンを通しての真のビッグプレーだった。
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DFの右にはサンフレッチェ広島の中野就斗。湘南ベルマーレ戦のゴールは強烈。攻守両面でのプレーの強度そして迫力。巧みなドリブル。あらゆるプレーのレベルが高い! 左には川崎フロンターレの三浦颯太。33節・FC町田ゼルビア戦、アンダーラップからの攻撃参加で左サイドを制圧。攻撃参加のタイミング、スピードそして左足のキックの精度。走り出しただけで見ている者に期待感を抱かせた。
CBは東京ヴェルディの綱島悠斗と湘南の大岩一貴。188センチの長身ながら足もとの技術も確かな綱島。複数のポジションをこなせるが、3バックの右に配置され、ヴェルディの攻撃に厚みを加えている。34節・浦和レッズ戦では2ゴール。守備でもビルドアップでも能力の高さを披露している。
大岩がスタメン復帰してから3連勝の湘南。逆転勝利した34節・広島戦。前半は広島のペースだったが、リズムを変えたのは3バックの右からリスクを負って攻撃に参加する大岩のランニングだった。その動きは他の選手に勇気を与え、スタジアムの空気を変えた。ゴールに関わったわけではないが、首位広島に対し立ち向かう大岩の姿勢はゴールと同じくらい価値のあるものだった。
ボランチは広島の川辺駿と湘南の田中聡。川辺がカバーするエリアは尋常ではない広さ。ゴール前で守備をしていたかと思えば、相手ゴール前で攻撃に加わっている。かなりハードワークしているにもかかわらず、キックやドリブルの場面でプレーにブレがない。タフな仕事ぶりは広島の中盤に欠かせない。
球際の強さ、展開力に加え、34節・広島戦ではアディショナルタイムに逆転ゴールを決めた田中。頼りになるアンカーは3連勝した湘南の大黒柱として堂々の活躍だった。
中盤の右には鹿島の樋口雄太。新潟戦で2ゴール・1アシスト。鹿島の3点目、樋口の2ゴール目になるグラウンダーのボールを得意の右足で決めたシュートは見事。高精度の右足から放たれるシュート、パスは見応え十分だ。
左には2試合連続ゴールの京都サンガF.C.のマルコ・トゥーリオ。こぼれ球をボレーで仕留めたヴィッセル神戸戦。一人少なくなり厳しい状況の中で先制点を決めたサガン鳥栖戦。ディフレクションがあったとしても、そのボールがゴール方向に進んでいくシュートの強さとゴールに向かって行く強い意志。京都の攻撃にマルコ・トゥーリオの心身両面での馬力は欠かせない。
トップ下にはFC東京の荒木遼太郎。荒木だけが持つ瞬時のひらめきと、そのひらめきを可能にする技術。神戸戦での遠藤渓太への胸でのアシストやFKでの安斎颯馬へのアシストには荒木の魅力が詰まっていた。
そして、トップでMVPにはガンバ大阪の宇佐美貴史。33節・北海道コンサドーレ札幌戦、チームを逆転勝利に導くアディショナルタイムでの2ゴールは圧巻。プレッシャーのかかるPKを決めたのも見事だったが、その後ドリブルで2人かわしてからのゴールは鳥肌もの。
これだけでも十分だが、10月23日に行なわれた35節・名古屋グランパス戦でのG大阪の3点目。福田湧矢に出した宇佐美の絶妙ラストパスが素晴らし過ぎた。福田がニアにもファーにも打てるところに優しいパス。福田の未来の足もとにボールを置いた。
ゲームを決めるゴールにアシスト。見事なパフォーマンスはMVPにふさわしい。今シーズンの宇佐美のプレーからは目が離せない。
取材・文●平畠啓史
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