バニャイヤ、転倒リタイアで王座防衛に黄信号。マルティンがスプリント勝利でポイント差急拡大|MotoGPマレーシアGPスプリント

 セパン・インターナショナル・サーキットでMotoGP第19戦マレーシアGPのスプリントレースが行なわれた。レースはホルヘ・マルティン(プラマック)が制し、初チャンピオンを大きく手繰り寄せた。

 スプリントレース前には豪雨と洪水による大きな被害を受けたスペインのバレンシア地域のため、ライダーやMotoGP関係者が集まって1分間の黙祷が捧げられた。なお最終戦バレンシアGPは中止が決まっており、現在は代替開催地が検討されている。

 予選では17ポイント差でポイントリーダーのホルヘ・マルティンを追うフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が圧倒的なタイムでポールポジションを獲得。2番手にマルティン、3番手にアレックス・マルケス(グレシーニ)が並んだ。

 上空に雲がかかる中、スプリントレースは気温30度、路面温度40度のコンディションでスタート。なおレース中に雨が降った場合、レイン用マシンへの乗り換えが許可された状態でのスタートとなった。

 全10周のスプリントは、バニャイヤとマルティンが横並びでターン1へ突入。ここではマルティンがイン側をとり、ターン1を先頭で駆け抜け、バニャイヤは2番手となった。

 マルティン、バニャイヤ、そして5番グリッドから浮上してきたマルク・マルケス(グレシーニ)が3番手に続き、この3人がトップ集団を形成。1周目から他のライダーを引き離していった。

 トップ3台は0.2秒ほどの差での走行が続く。逆転を狙うバニャイヤはマルティンの前に出たいところだが、なかなかオーバーテイクには至らなかった。

 そして3周目、まさかの展開がバニャイヤを襲った。ターン9で転倒してしまったのだ。復帰を諦めたバニャイヤはコース脇でじっと俯くなど、流石にショックを受けている様子だった。

 初タイトルを引き寄せる大チャンスを手にしたマルティンは、バニャイヤの転倒後2番手のマルク・マルケスに対しての差を1秒近くまで拡大。スプリント勝利に向けてひた走った。

 マルティンは2番手に対して約1秒~0.8秒ほどの差を維持しながらラップを消化していく。一時的に0.6秒ほどまでマルケスに迫られる場面もあったが、それ以上の接近は許さずに再び差を広げるなど、マルティンは状況をコントロールしていた。

 終盤もマルティンはミスの無い走りで、最後までその差を維持してトップチェッカー。タイトル争いにおける重要な勝利を手にした。2位はマルク・マルケス、3位はエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)だった。

 バニャイヤがノーポイントに終わり、マルティンがスプリントを勝利した結果、ポイント差は29点に拡大。マレーシアGP決勝レース終了時点で、38ポイントまで差が広がった場合、最終戦を残してマルティンがタイトルを獲得するという状況となった。

 なおマルティンが王者となった場合、2001年のバレンティーノ・ロッシ(当時ナストロ・アズーロ・ホンダ/500cc)以来のサテライトチームライダーの最高峰クラス王者誕生となる。

 中上貴晶(LCRホンダ)は17位フィニッシュで、ポイント獲得はならず。一方ヤマハのファビオ・クアルタラロは5位とドゥカティ勢以外では最上位という好結果だった。

 またVR46でファビオ・ディ・ジャンアントニオの代役として5年ぶりのMotoGP参戦を果たしているアンドレア・イアンノーネは、19位フィニッシュとなった。