マンチェスター・シティがフットボールディレクター(FD)のチキ・ベギリスタインの退任を発表した。
2012年10月に同じくバルセロナの出身で、一足早くシティのCEOに就任したフェラン・ソリアーノに請われてやって来たベギリスタインは、エティハド・スタジアムに、7回のプレミアリーグ優勝、1回のチャンピオンズリーグ優勝、1回のクラブワールドカップ優勝、1回のUEFAスーパーカップ優勝、2回のFAカップ優勝、6回のカラバオカップ優勝、4回のコミュニティー・シールドの優勝をもたらした。
彼の退任はまた、バルサでもシティでも強力タッグを結成した仲であるジョゼップ・グアルディオラ監督の去就と密接にリンクしている。
シティによると、ベギリスタインは来夏に開催されるクラブ・ワールドカップの後、シティを離れるという。後継者に指名されたスポルティングの現スポーツディレクターのウーゴ・ヴィアナがソフトランディングできるよう道をならすことが今後課された使命となる。
その一環としてヴィアナは今シーズンいっぱいスポルティングの現職にとどまりながら、ベギリスタインの協力者としてシティの業務にも携わることが発表されている。
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ベギリスタインは今年8月に60歳を迎えた。よりストレスの少ない環境に身を置きたいと考えても不思議ではない年齢だ。
彼がプレミアリーグに残すレガシーは前述したタイトルにとどまらない。シティが育んできたサッカー文化は欧州の主要クラブに参考とされるまでになっており、現在ベギリスタインとグアルディオラの影響を受けるミケル・アルテタ、ヴァンサン・コンパニ、エンツォ・マレスカがそれぞれアーセナル、バイエルン・ミュンヘン、チェルシーを指揮している。
ベギリスタインの去就は過去にも何度か取り沙汰されてきた。シティは現在、財務規則違反の疑いのため裁判に直面しており、その判決如何では、補強戦略の見直しを迫られかねない。そんな不確実な状況下での今回の発表であり、だからこそ前述した通り、グアルディオラ政権終焉の前兆になる可能性も否定できない。
現役時代、ベギリスタインは洗練されたテクニックを持つ左利きのウイングとして活躍した。頭角を現したレアル・ソシエダで指導を受けたジョン・トシャックが特に評価していたのがクレバーさだ。
フロントに活躍の場を移した後もその資質は失われておらず、常に状況を先読みしながら、適切なタイミングで最善の決断を下してきた。バルサ時代の恩師であるヨハン・クライフもベギリスタインの抜け目のなさに着目していた人物の1人だ。「私の話の意図を汲み取ってくれるのは彼だけだ」と半分冗談、半分本気で言っていたものだ。
「私の仕事は新戦力を獲得しお金を使うことだけではない」とベギリスタインはバルサ時代に語っていた。就任から現在に至るまでに、シティは20億ユーロ強を投資し、その約半分を既存戦力の売却で回収した。迷走を続けているマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーは同期間でより多くの金額を移籍市場に投下している。シティの躍進を陰で支えていたのが、勝てるチーム、勝てるスタイル、勝てるアイデアを形にする敏腕FDだった。
文●ファン・L・クデイロ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸
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