レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、かつて言われていたような「トップチームに参加するには少なくとも3年かかる」という言葉は、今や当てはまらないと語った。
特に今年のF1では、新人ドライバーの活躍が目立っている。
サウジアラビアGPでは、虫垂炎に見舞われたカルロス・サインツJr.の代役としてフェラーリから急遽デビューとなったオリバー・ベアマンが、いきなり入賞。大きく評価を高めた。そのベアマンはアゼルバイジャンGPでもハースのマシンを駆り、またも入賞を果たした。今週末のサンパウロGPでも再びハースのマシンを駆り、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグを凌駕するようなパフォーマンスを発揮している。
またローガン・サージェントの後任としてウイリアムズからデビューしたフランコ・コラピントも、5戦で2回の入賞。デビュー前の評価はお世辞にも高かったわけではないが、いざ蓋を開けると目覚ましい活躍を見せ、母国アルゼンチンでもコラピント人気が沸騰し始めているという。
ダニエル・リカルドの後任としてRBのステアリングを握るリアム・ローソンも、1年ぶりのF1ながら印象的な活躍し、大荒れのサンパウロGPでは9位入賞。更迭が噂されるレッドブルのセルジオ・ペレスの後任候補のひとりとして、注目を集めている。
最近新人ドライバーの活躍が目立つことについて尋ねられたマルコ博士は、ServusTVのインタビューに次のように語った。
「それにはいくつかの理由がある。ひとつはシミュレータだ。シミュレータでは、全てを比較的実際に近い条件下で行なうことができるんだ」
「一方、無線を聴いていると、エンジニアたちはまるで自動車学校のように、ステアリングを操作している。『ブレーキをもっと遅くしなさい。ギヤを上げなさい、下げなさい』という感じでね」
「データに基づいて、エンジニアは全てのミスや弱点をすぐに見つけることができる」
かつてトロロッソ/アルファタウリのチーム代表を務めたフランツ・トストは、F1に慣れるためには3年が必要だと語っていた。しかし今では、状況が大きく異なるとマルコ博士は語った。
「F2は馬力も強力で、タイヤは(F1と)同じだ。だから、ドライバーがトップチームに参加するには少なくとも3年が必要だという古い格言は、もはや当てはまらないんだ」