[ACLエリート第4節]川崎 3-1 上海海港/11月5日/等々力陸上競技場
ACLエリートの第4戦、川崎が上海海港に前半の3ゴールで競り勝った試合、後半途中から出場してポスト直撃のヘッドを放つなど、らしい動きを見せたのが37歳のストライカー、小林悠である。
自らの身体と会話しながらコンディションを整え、ゴールへの飽くなき想いを抱え続ける男は「感覚が良かっただけに、決めたかった」と笑顔を見せてくれたように、ゴール前でのキレを示した。
一方で、ここ数日ではかつて川崎でともに汗を流し、切磋琢磨した同じ1987年生まれのMF楠神順平(南葛SC)、MF木村祐志(鹿児島)の今季限りでの現役引退が発表されていた。
【動画】川崎×上海海港ハイライト
小林、楠神、木村は、ひと足先にスパイクを脱いだGK杉山力裕、FW久木野聡と“1987年会”としてライングループを作り、食事会も開くなど互いを励まし合ってきたという。
それだけに小林の胸にも「寂しい」という感情がまず押し寄せたようだ。一方で、労いの言葉も口をつく。
「寂しいですけど、俺らもう37ですから。十分やりましたよ。祐志と順平はそこまでやると思っていなかったので。俺らがプロになった頃はそれこそ30歳までやったらベテランと言われていたくらいで、そう考えると、みんな本当によく頑張ったなと思いますね」
他の4人からは「あとは悠だけだから」と現役で戦い続ける小林の背中を押す言葉がかけられているという。
だからこそ小林はチームの勝利のため、そしてゴールという生きがいのために、様々な現実に抗い続ける。
「もうちょっと頑張ります」
男は頼れる背を見せながらスタジアムを後にした。多くの人が、彼のゴールを待ち望んでいるはずである。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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