ふたりの元F1ドライバーが火花を散らしている。ベネトンやスチュワートで計3勝を挙げ、現在はレーススチュワードも務めるジョニー・ハーバートと、4連覇を目前にしているマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の父であるヨス・フェルスタッペンだ。
発端は、メキシコシティGPでマックス・フェルスタッペンに科せられた合計20秒のタイムペナルティについてハーバートが「今後も、(彼が)ランド・ノリス(マクラーレン)をコース外に押し出すのを止めることはないだろう」と発言したことだ。
『Sky F1』で解説を務めるデイモン・ヒルからも酷評されたフェルスタッペンは、「このパドックに持ってくるパスポートを間違えたみたいだ」とコメント。イギリス人のノリスを、同国出身のヒルやハーバートが”援護”していると示唆した。
「昨年はパーフェクトだったから、ネガティブなことが言えなかったのは多くの人にとって大きな痛手だったはずだ」
「今、彼らは何かを言うチャンスを得た。結局のところ、僕はこのパドックに持ってくるパスポートを間違えてしまったんだ」
ハーバートはメキシコシティGPのスチュワードだったため、前述のペナルティについては当事者のひとり。そのためフェルスタッペンとしても、ハーバートのコメントに違和感を持ったのだろう。その発言を「かなり極端な非難」と呼び、わざとノリスを押し出したわけではないと主張した。
当然、彼の父親であるヨス・フェルスタッペンもスチュワードを務めていたハーバートがペナルティを科したことを公の場で発言したことに憤慨し、「スチュワードは報道陣と一切話すべきでな い」と怒りを露わにした。
しかし、先週末のサンパウロGPでもレーススチュワードを務めたハーバートは、自分は偏見を持っていないと主張している。
加えて、レッドブルのオペレーションに批判的な立場をとっているヨス・フェルスタッペンに疑問を呈した。
「私はレースウィークエンドではスチュワードでありプロフェッショナルであるジョニー・ハーバートであり、それ以外の時は評論家として自分の考えを述べるジョニー・ハーバートだ」と彼は『SafestBettingSites.co.uk』に語った。
「私はスチュワードであるとき、意見を述べることはない」
「誰もが意見を持っている。(Sky Sports F1解説の)マーティン・ブランドルは意見を持っている。サーキットにいないときに、なぜ私が意見を言えないのか?」
「サーキットは50年間、私の世界だった。サーキットで見たことに納得がいかなければ、そう言うよ。マックスだけじゃない。正当な理由があると思えば、誰であっても批判する」
「ヨスの立場も理解できる。彼の息子のことだからね。偏見はある? いやもちろんそんなことはない。メキシコで限界を超えていたと考えていたのはノリスもザク・ブラウン(マクラーレンCEO)もそう思っていた」
「月曜日や火曜日に私が人々と話すのは、私のスチュワードとしての責任外のことだ」
「ヨスはレッドブルで起きていることについて常に率直だ。それが彼の立場なのか? すべて似たようなものだ。意見を持ち、それを主張したいのであれば、そうすればいい」
一方、タイトル争いについてハーバートは、今季の戦いからノリスが学びを得て来季の戦いに臨むだろうと話した。今季残り3戦で獲得可能な最大ポイントは86点だが、ノリスはフェルスタッペンに62ポイント差をつけられているのだ。
「マクラーレンとランドは、ハンガリーで7ポイントをロスしている。彼らはピアストリを勝たせてしまったからだ。来シーズンに向けて彼らが意識しなければならないのは、そういったことだ」
「今年、彼らはチャンピオンシップを失ったのだろうか? いや、彼らは常に追いかける立場だったからね。彼らはもっとポイントを稼げただろうが、それがレースというものだ。マックスは6月以降勝てていなかったが、大きなリードを持っていた」
「マクラーレンは来年に向けて学び、より強い心構えを持つだろう。ランドはマックスに勝てるとわかって2025年に臨むはずだ」