山田孝之×仲野太賀 W主演 映画『十一人の賊軍』が11月1日より大ヒット上映中です。
「日本侠客伝」シリーズ(64年-)、「仁義なき戦い」シリーズ(73 年-)などを手掛け、 東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットが、60年の時を経て映画化。企画・プロデュースの紀伊宗之と白石和彌監督、 脚本の池上純哉たち平成ヤクザ映画の金字塔『孤狼の血』チームが受け継ぎ、令和に新たな集団抗争劇が誕生します。
主演には『凶悪』、「闇金ウシジマくん」シリーズで苛烈な役を演じ抜き、 ドラマ「全裸監督」「忍びの家 House of Ninjas」では国内だけでなく、 海外でも注目を浴びる山田孝之と、 『すばらしき世界』、『四月になれば彼女は』などに出演し、2026 年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の 主演が決定した仲野太賀。共演に、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、玉木宏、阿部サダヲら豪華くせ者キャストたちが集結しています。
本作は1868年が舞台。「鳥羽・伏見の戦い」を皮切りに、15代将軍・徳川慶喜を擁する「旧幕府軍」と、薩摩藩・長州藩を中心とする「新政府軍=官軍」で争われた戊辰戦争。新発田藩で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた罪人たちが決死隊として砦を守る任に就く様を描きます。妻を寝取られた怒りから新発田藩士を殺害して捕まり、砦を守り抜けば無罪放免の条件で戦う政(山田孝之)など、「砦を守れば無罪放免」と自分の命を人質にされた罪人たち。政府から“捨て駒”扱いされている彼らの後戻り出来ない、覚悟の戦いは観ているものの心も熱くすること間違い無し。
2023年8月にクランクインし、11月クランクアップした本作。何と9月に千葉県鋸南町で行われた撮影現場に潜入させていただきました!撮影の様子や、白石監督の本作にかける想いなどをお届けします。
千葉県鋸南町の元採石場跡地に組まれたセットたち。“汚し”の技術がふんだんに使われ、1868年にタイムスリップした様なリアルさ!中に入らせていただきましたが、水桶などもしっかりと設置されており、賊軍たちがここを本拠地としていた様子が伺えます。
決して広くない室内の中に、キャストさんはもちろんスタッフさんたちもギュウギュウになって1つのシーンに全力を注ぎます。
時代考証を経て建てられた、およそ6メートルの物見櫓。登ってみるとなかなかの高さで、ここを登ったり駆け降りたりしているなんて、俳優の皆さんってすごいなあと感動しちゃいました。この日はとても暑い日だったのですが、日傘を差してしのいだり、キャストさん同士で声を掛け合ったりしている姿も印象的でした。
実際に雨を降らして撮影をしており、ものすごい量の水しぶきが!こちらがどの様なシーンになっているのか本編でお楽しみを。
現場では白石監督がキャストと話す場面も見られました。次のシーンの説明をしたり、スタッフさんに指示出ししたり、大忙しの監督。そんな中、取材に来ていた私たち記者にも「暑い中ありがとうございます!」「時々キョン(動物)が来たりするんですよ」と優しく声をかけてくださりました。
「今の時代に作る時代劇として」白石監督に本作へのこだわりを聞いてみた!
――素晴らしいセットですね。こちらの場所での撮影を決めた理由はどんなことですか?
笠原さんのこの企画を60年代の東映京都撮影所で撮っていたら、どうやったのだろう?とずっと考えていました。1年以上かけて全国を回ってロケハンを行い、新潟近辺でセットを組めないか考えたりもしましたが、様々な条件を考え、僕自身が昔から馴染みのあった鋸南に決めました。スタッフとともに脚本からデザインを起こしてみると、自分がこれをやりたいと言ったことの大きさに若干震えるような気持ちもありました。それでも、このような素晴らしいセットができました。これらを思いっきり跡形も無くすくらい壊して、贅沢に楽しみたいと思っています。
――本日現場にお伺いして、これだけの大人数での撮影はとても迫力がありますね。その分ご苦労も多いのではないでしょうか。
工藤栄一監督や黒澤明監督の作品を観てきて、大勢で戦う集団抗争時代劇にロマンを感じていました。これまで群像劇は撮っているつもりでしたが、毎シーン10人以上出るようなことはなかったので、人の力ってすごいんだなと感じています。いつもはシネスコの中に2人か1人、何か決めゼリフを言うときに、単独のショットを撮ることが多いですが、今回はグループショット。今まで経験したことがないことなので、その分大変です。ただ何か噛み合った瞬間の強さみたいなものが他の映画とは違う感じがあって、冒険しているような気分。もちろんプレッシャーはありますが、そのプレッシャーは今に始まったことじゃないですし、優秀なスタッフやキャストがこれだけ集まっているので楽しんでいます。
――山田孝之さんとの久しぶりのタッグとなりましたね。
『凶悪』を撮った時のスタッフは20人くらいだったのですが、ここ数年、Netflix作品も含めると、80人から100人ものスタッフがいるような現場となり、どこかで自分の映画作りの原点に帰りたいともがいていました。そういう意味でも『凶悪』に出てくれた山田さんは、僕を映画監督にしてくれた人でもあるので、山田さんともう1回やることで、自分の魂を初心に戻して純粋に映画作りができるんじゃないかと思い、お願いしました。『凶悪』から11年経って山田さんもプロデューサーをやられたりと、多角的に作品を見られるので、今、とても心強い存在になっています。……本当はお休みを取ろうと思っていた様なのですが、少々無理を言ってお願いさせてもらしました。
――後戻り出来ない賊軍たちの決死の戦いという痺れる内容になっています。監督はどの様にこの物語を組み立てたいと思いましたか?
脚本の池上純哉さんと一緒に考えながら、基本的には笠原さんのプロットに準じた物語になっています。ただ、この企画について岡田茂さん(当時の東映京都撮影所所長)が言ったという「全員死ぬような辛気臭いものはやめろ」という言葉にも共感するところがありました。誰かに生き残ってほしくて、今の時代に作る時代劇として元のプロットから改変しています。
戊辰戦争のさなか、奥羽列藩同盟の新発田藩が裏切り者として語られます。一般的に日本の戦争の物語は、戊辰戦争でも白虎隊が「国のために死ぬ悲劇」になりますが、裏切り者と言われる側の事情を描くことで、どちらにも悪はなく、どちらにも正義がある、それを描けると思いました。砦を守った奴らは罪人だから、あとは殺してもいい――そういうロジックや物語の強さに訴えるものがあり、それは笠原さんだからこそ出てきた考えです。そこさえ守れば細かい変更は問題ないと、笠原さんのプロットの強さを信じています。
――今日一部分を見させていただいただけですが、本編を大スクリーンで観ることを心から楽しみにしています!
楽しみにしていてください。東映はもちろん、笠原さんは日本映画の中で特別な存在ですし、そのお名前があるものをやる以上は、日本映画史に残るべく傑作にしないといけな。笠原さんのお墓参りに行ったり、奥様ともお話をさせていただきました。シナリオのために新潟に行ったときには、東映の大プロデューサーだった日下部五朗さんの娘さんにお会いする機会もあって。当時この企画が実現していたら、若き日の日下部さんがかかわっていたかもしれないですし、いろんなご縁を感じました。
【タイトル】 『⼗⼀⼈の賊軍』
【公開情報】絶賛上映中
【出演】 ⼭⽥孝之 仲野太賀
【スタッフ】 監督︓⽩⽯和彌 企画・プロデュース︓紀伊宗之 原案︓笠原和夫 脚本︓池上純哉 音楽:松隈ケンタ
【配給】東映
【撮影期間】2023年8⽉〜11⽉
【公式 HP】 https://11zokugun.com/
【公式SNS】 X︓@11zokugun_movie / Instagram︓@11zokugun_movie
©2024「十一人の賊軍」製作委員会