フェニックス・サンズのケビン・デュラントが、バスケットボール史に残る名スコアラーであることに異論を挟む者はいないだろう。しかし、将来の殿堂入りが確実視される“生ける伝説”に対して、名物コメンテーターのスティーブン・A・スミスが発したコメントを発端に議論が巻き起こっている。
2007年のドラフト全体2位指名でNBA入りしたデュラントは、これまでシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ブルックリン・ネッツ、サンズの4球団に所属し、歴代8位の通算2万9146得点を記録。得点王4回、キャリア平均27.26点は歴代6位に名を連ね、身長211cmのサイズと高いシュート力を誇る点取り屋として知られる。
2016~19年に在籍したウォリアーズでは2年連続でリーグ優勝とファイナルMVP受賞を果たしたが、名物コメンテーターのスミス氏は『ESPN』の番組『First Take』に出演した際、今季のサンズが有力な優勝候補ではない理由として36歳となったデュラントについて触れた。
「ケビン・デュラントは、バスケットボール史上最も偉大な選手の1人だ。将来、殿堂入りする選手であり、2度チャンピオンに輝き、ファイナルMVPも2度受賞している。そして、私は彼をナイスガイだと公言してきた。彼の偉大さ、献身性を疑ってはいない。しかし、あれだけ偉大なら、彼は自身が示してきた以上に良いリーダーになれるはずだ」
これには、デュラントもすかさず“反撃”を試みた。『The Athletic』のインタビューで、「もちろん、俺が努力すべき点はある」と断った上で「スティーブン・A・スミスの言うことに耳を傾ける人の気が知れない。俺はリーグに18年いるけど、練習でも、フィルムセッションやシュートアラウンドでも、彼を見たことがない。テレビで選手の悪口を言っているところしか見たことがない。彼は俺にとって道化師さ」と、否定的な見解を述べた。
デュラントは自身が批判を受ける時、「曖昧で主観的なもの」、つまり今回のリーダーシップのような部分に要因が落ち着くことが多いと言及。ボーカルリーダーとしてもっと声を出すようにするかと問われると、「これまでと同じだ」と答えた。
「リーグでの経験を重ねるにつれて、人間として成長し、もっと自分自身を知り、観客との対話にも慣れてくる。俺は自分のためじゃなく、チーム全体のために、という姿勢を貫いてきた。俺がロッカールームでチームメイトともコーチとも話さず、黙っているなんて意見はばかばかしい」 今季からサンズに加入したタイアス・ジョーンズも、「彼は歴代でも偉大な選手だ。毎日110%の力を発揮し、自分磨きに取り組んでいる。18年目になっても、さらにステップアップする方法を模索し、自分を追い込んでいる」と、デュラントの偉大さを主張している。
スミス氏は『First Take』で再びデュラントに牙を剥いたが、元NBA選手のギルバート・アリナスは自身がホストを務めるポッドキャスト番組『Gil’s Arena』で、その主張は間違っていると持論を展開した。
「スティーブン・A・スミスは『リーダーではない』と主張するが、ロッカールームにも、練習にもいない男がどうやって判断するのかと疑問に思う。デュラントはゴールデンステイト(ウォリアーズ)に行き、ベストプレーヤーとしてファイナルMVPに輝き、チームをタイトル獲得に導いた。(リーダーとして)評価されてしかるべきだ」
デュラントは生え抜きのステフィン・カリーやドレイモンド・グリーンが在籍するウォリアーズに移籍してタイトルを獲得したゆえに、評価が分かれる選手ではあるが、今回ばかりはスミス氏が劣勢なようだ。
構成●ダンクシュート編集部