〈長期手配犯・FC2創業者を逮捕〉“なにわのビル・ゲイツ”が日本に帰国したやむを得ない理由とドバイ、米国、タイ…世界各地に家を持つセレブぶり

「なにわのビル・ゲイツ」と称され、長く海外生活をしていたインターネット動画配信サイト「FC2」創業者が帰国した空港で捕縛された——。京都府警は11月7日、FC2(本社・米国ネバダ州ラスベガス)創業者で住居・職業不詳の高橋理洋容疑者(51)をわいせつ電磁的記録陳列の疑いで逮捕した。2015年に逮捕状を取り、出入国時に身柄を抑えられる「国際海空港手配」の手続きをしており、韓国から関西空港に帰国したところを逮捕した。
 

実弟は兄が問われた容疑で逮捕、起訴され…

逮捕容疑は2013年6月、FC2を事実上運営する関連会社「ホームページシステム」(大阪市北区)元社長の実弟や会員らと共謀し、会員の男が撮影したわいせつな動画をFC2が管理するサーバーで記録・保存し、不特定多数に閲覧させた疑い。

「FC2は1999年に設立された米合衆国法人ですが、2014年当時の会員数約1400万人の95%が日本語で動画を視聴しており、実質的な管理運営はホームページシステム社が行なっていたことで国内法が適用できるとして府警が手続きを進め、帰国のタイミングを待ち構えていました。

FC2自体は利用者にサーバーの提供などを行なう総合サイトで、ブログ開設などにも定評があるものの、一番のウリは無修正を含めたAVやエロ動画、他にもテレビの人気番組などが“見放題”だったことです。

1000円程度の月会費を払うと有料会員として無制限、高品質で投稿された動画が観れた。この仕組みを支えたのは、投稿動画を観た人が『続きを見たい』をクリックして有料会員に登録すると、登録料の半分が投稿者に還元される『アフィリエイト』です。

投稿は匿名でできるため、違法動画の投稿を推奨するような素地が出来上がり、FC2は急成長した。逆にこれで甚大な被害を被ったのがAV業界で、業を煮やした大手7社が2013年、配信中止などを求めて東京地裁に提訴しています」(IT業界に詳しいジャーナリスト)

ホームページシステム社の社長だった実弟ら2人は、高橋容疑者が今回問われたのと同じ容疑で逮捕、起訴されてすでに審判を受けている。一、二審で懲役2年6月、執行猶予4年、罰金250万円の判決を受け、上告したものの最高裁が2021年2月にこれを棄却、判決が確定しているのだ。

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「女好きのオジサンというイメージですね」

しかし、莫大な資産を築き、海外に複数の拠点を置いてセレブ生活を享受していた高橋容疑者はなぜ逮捕されることを覚悟で帰国したのか。それとも逮捕されない自信でもあったのか。長年交流のある女友達はこう証言した。

「高橋さんは、身内の体調がかなり悪くて日本に帰らないといけない事情があったようです…それで逮捕されたって感じです。昨日くらいから仲間ウチでも情報が回ってました。彼本人は少しタカをくくったというか、油断もあったと思います。

彼はすでにアメリカ国籍を取得していて、それでパスポートの名前も変わっていたはず。国際手配ということでしたけど、ドバイ(アラブ首長国連邦)はもちろん、韓国やアメリカ、ハワイ、タイとかに家があって、普通に行き来してましたから。

仕事はセミリタイアで、世界中に家があって悠々自適に暮らしてましたよ。リゾート地が多いから海やプールで遊んでいたと思うかもしれませんが、彼は水とか嫌いなんでマイケル・ジャクソン並みに白かったです。とにかく『おネエちゃん』が大好きで、特に素人の子かな、ナンパしたり“手配師”に準備させたりして皆で飲んで遊ぶんですよ」

現地では同じく国際手配がかかった投資家やカリスマ実業家らと交流を重ね、暴露系ユーチューバーで参院議員にもなった「ガーシー」こと東谷義和氏とも親しかったという。ただし、と女性はひと呼吸置いてこう続けた。

「でも、あの界隈の人たちに比べると高橋さんは温厚なタイプだったと思いますよ。ただの女好きのオジサンというイメージですね」

取り巻きや友人、知人からすれば温厚なセレブだが、10年近く行方を追っていた当局の見方は当然異なる。一連の経緯に詳しい社会部記者はこう言う。

「警察はこれまで、高橋容疑者を血まなこで探していました。高橋の周囲の人間を逮捕して金の流れや関係性を聞き出す。それでもなかなか口を割らず、拘留期限も切れて結局不起訴になって出る者もいました。身柄の拘束は念願でしたから、今後は別件も含めて立件に向けて調べを進めていくでしょう」

高橋容疑者は取り調べに対し「日本の法律に違反しないと思っていた」と話しているという。
まずは執念の逮捕にこぎつけた京都府警の今後のお手並み拝見というところか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班