パルミジャーノの芳醇な薫りが嗅覚を包み込み味覚を魅了

実際に食べてみたが、これがまた想像以上に美味。やや大判なのでナイフを入れたりフォークで折るなどしたが、その感触から弾力があって硬そうに思えるものの、食べた瞬間にプリプリとしたパスタが砕けていき、パルミジャーノの芳醇な薫りが嗅覚を包み込み、味覚を魅了する。

そして最後に訪れる「しつこくないがディープなコク」。ほんのりと後味として漂う花のような香りもたまらない。

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いっさい飽きることなく食べ続けられる

筆者が食べたときは1人前で8枚のクロゼッティが皿に盛られていた。いっさい飽きることなく食べ続けられるため、一枚一枚食べて減るたびに「ああ、もう少しで終わってしまう」という悲しい気持ちがこみあげてくる。

幸せなのに悲しい。このおいしさの時間が終わることが悲しい。もっと食べたい! 幸せな時間はその枚数に比例するのだ。

食材ひとつひとつが適切な味を保っている

これは「マジカメンテ」の料理全体にいえることだと思うが「味がむやみに強くない」のが素晴らしい。過剰がいっさいなく、まさに絶妙なバランスであり、食材ひとつひとつが適切な味を保っている。これはなかなかできることではない。まさにシェフが成せる技といえる。

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このパスタはあらゆる意味において食べるべきもの

イタリア国内でもめったに食べることができないクロゼッティ。そして「技術の灯」が消えてしまうかもしれないクロゼッティ型職人の「匠の技」。このパスタはあらゆる意味において食べるべきものといえるだろう。なにより美味しいのだから。

クロゼッティ型職人の技術を失わせないため

ちなみに、クロゼッティ型職人の技術を失わせないため、ひとりの日本人女性がその技術を受け継いだとの話も聞いた。もしかすると、イタリアで消滅する技術が日本で受け継がれていくかもしれない。

……クロゼッティ、グルメのロストテクノロジーにさせたくない。

その町では本場のクロゼッティが食べられる

「マジカメンテ」でクロゼッティやスタンプに魅了された人は、本場のクロゼッティを食べに行くのも良いかもしれない。ヴァレーゼ・リーグレの町はジェノバからクルマで1時間30分、フィレンツェからクルマで2時間30分ほどの場所に位置し、その町では本場のクロゼッティが食べられるという。

とうぶんは行けそうにない。そういう人は『マジカメンテ』でクロゼッティを食べつつ、イタリアの山奥の町に思いを馳せるのも楽しげだ。



※記事は思い出を込めて再構成したものです

(執筆者: クドウ秘境メシ)