「FIAは規制強化すると思っていた」フェラーリ、今季話題フレキシブルウイングに”乗り遅れた”ワケ

 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、フレキシブルウイングへの規制が強まると考えていたため開発を進めておらす、そのせいで出遅れてしまったことを認めた。

 現行世代のF1マシンのパフォーマンスを高めるためには、フロントウイングの空力的な弾性を利用……つまりフレキシブルウイングを活用することで、低速時のアンダーステアと高速時のオーバーステアを避ける上で、強力なツールとなる。

 2024年のシーズン中に急成長を見せたマクラーレンやメルセデスも、このフレキシブルウイングを上手く活用していると見られており、度々議論の的となった。

 フェラーリはシンガポールGP以降、この分野の改善を目指して新しいフレキシブルフロントウイングを採用し、メキシコやアメリカで勝利するなど良好なパフォーマンスを見せた。バスール代表は、FIAによる規制が強まると確信していたために、この分野を追求するのが遅くなってしまったと説明する。

 FIAはフレキシブルウイングに注目が集まったことで、ウイングの変形を監視するカメラを各車に設置した。フェラーリはこれにより規制が強化されると考えていたものの、FIAはフロントウイングのフレキシブル性について、各チームが行なっていることは合法だと判断した。

「フラストレーションは感じるね。というのも、(ベルギーGP以降に)カメラ設置を決めた時に、FIAの決定を待っていたからだ」

 バスール代表はフレキシブルウイングの状況について、motorsport.comにそう語った。

「我々は(フレキシブルウイングを使い続けることは)『駄目だろう』と確信していたんだ。そして実際には(使い続けて)『ヨシ!』となってしまった! だから我々はおそらく、1~2ヵ月をロスしてしまったんだ」

 加えてバスール代表は、フレキシブルウイングをより活用する設計を保留にした決断は、今のF1には予算上限が設定されているため、使われないという可能性がある状態では、プランを進める余裕がないという点にも影響されたと説明した。

「予算上限が存在するため、選択をしなければいけないんだ。だから難しい」

「つまり許可されないだろうと自信を持っているモノの開発をスタートさせた場合、風洞での時間も無駄にすることになる。それが我々の判断だった」

 カメラを搭載してまでチェックを行なったFIAだが、シングルシーター部門の責任者であるニコラス・トンバジスは最近、チームのアプローチは多様であるため、短期的にフレキシブルウイングに対する規則を変更することは、不公平だという結論に達したと語っている。

「フロントウイングは様々な形で負荷がかかってくるため、我々もレギュレーションでは簡単に予測することはできない」

「2つとしてまったく同じ荷重パターンをもつことはないため、適切なテストを行なうこともかなり難しい」

「そしてこうしたルールは2022年からあるため、我々が2025年に向けてそれを変更する、もしくは2024年中に変更すると突然言い出すのは、少し反射的なのではと感じていた」

「とはいえ、2026年に向けてより効果的なものにするために、集められた情報を活用している」