マルク・マルケスは2025年シーズンからドゥカティのファクトリーチームへと移籍するが、ホンダでの全盛期のような結果を再現するのは不可能だと考えている。
今シーズン、低迷するホンダからドゥカティ陣営のグレシーニへと加入したマルケスは、序盤からマシンに素早く適応して競争力を発揮し、ファクトリーチーム昇格を勝ち取った。
型落ちのマシンであるにもかかわらず、マルケスはこれまでに3勝をマークしており、最新型に乗るフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)やホルヘ・マルティン(プラマック)を相手に戦いを繰り広げている。
マルケスは来年、ファクトリーチームで最新のGP25を手にすることになるため、今季以上の結果を期待されることはおかしくないだろう。ただ当の本人は、ファクトリーチーム所属となったからといって、ホンダ時代の2019年に成し遂げた年間12勝と同じような成功を再現できるとは考えていない。
最終戦ソリダリティGPでマルケスは2024年シーズンを振り返り、こう語った。
「うん、今年はスポーツキャリアの中で自分を見つけられなかった年だし、繰り返されないことを願っている。今年は答えを探す1年だった」
「頭の中には多くのクエスチョンマークがあって、答えを探してきた1年だった。それらに対して、僕はポジティブな形での答えを見つけてきたんだ。主な疑問は、僕にはまだMotoGPで走るのに十分な競争力があるのか? ということだった。そして、その答えはイエスだった。僕にはまだ競争力がある」
「論理的に言えば、(ホンダ時代の)2019年のように圧倒的な存在になることは不可能だろう。なぜか? 人生には様々なことが起きるからね。でもMotoGPで高いレベルと競争力を維持するために、できるだけ努力するんだ」
MotoGPクラスで6回頂点に立ったマルケスがドゥカティファクトリーへ昇格することに対して、ファンの期待は非常に大きいものがある。
マルケスは今季もタイトル候補になるはずだというファンの期待があったことを指摘したものの、そういった期待を過度に重荷に感じていない様子だった。
「そうだね、僕がグレシーニへ移籍すると発表した時には、1年中勝ち続けるだろうと言ってた人もいた。でも僕はそれにノーと言っていた」
「ル・マンやカタルニア戦の頃には、僕がタイトルを争うだろうと言っていた人もいたね。それに対して僕はイエスと言えれば良いねと言っていた。」
とはいえ、9月頃には既に今年のタイトル挑戦は不可能だと分かっていたと、マルケスはあっさりと認めた。
「当然のことだ。数字の上ではチャンスがあったから考えていたけど、ムジェロ、アッセンと過ごして答えが出た。僕の疑問は解消され、『今年はムリだ』と思ったんだ」
「来年どうなるかは様子を見よう。プレシーズンテストをこなして、そしてタイの前くらいまでね……」
マルケスは以前、ベンチマークとなるバニャイヤから学ぶためにドゥカティへ加入すると述べるなど、2025年のチャンスを低く見積もっていた。ただファクトリーチームという環境ではチャンピオンを狙わなくてはならないことも理解していると語った。
来年ドゥカティで言い訳はできないのではと訊かれると、マルケスは「いやいや、次の2年間で、僕は最高の弾をふたつ持っているんだ。過去数年間を制して来たバイクとチームというね」と答え、さらにこう続けた。
「今年はともかく、結局のところファクトリーチームだからね。でも僕にとって、何かを証明する必要はないんだ」
「僕はMotoGPで競争力を発揮し続け、トップ3のポジションを争う事が大事なんだ」
「もっとも、僕の視界にはチラッと程度だけど、ロジカルに行けばタイトルを狙うことが目標になってくる。ファクトリーチームに所属する身となれば、タイトルを狙うことは義務だからだ」