ヴィラン役は勘弁! メルセデスが制作関与の映画『F1』で「レッドブルを説得するのに3年かかった」

 実際のF1パドックで撮影が進められているハリウッド映画『F1』で、レッドブルは”悪役”として描かれることを懸念していたと、共同プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが明かした。

 F1を題材としたハリウッド映画『F1』の撮影には当然ながらF1も深く関わっており、映画に登場する架空チームAPXGPがパドックに11番目のチームとして居を構え、先日のメキシコシティGPでは主演のブラッド・ピットがファンに手を振っている写真も撮影された。

 APXGPで使用されるマシンは、F2のマシンにF1のボディワークをボルトで固定したもので、メルセデスが独自のマシンを製作した。

 そのため、ブラック&ゴールドのマシンにはメルセデスとAMGのロゴがあしらわれている。ただメルセデスが制作側についていることで、ライバルチームは作品内で自分たちがどのように描かれるかを恐れていたようだ。

 ニューヨークで開催された『2024 Investor Day』のイベントで、F1オーナー企業リバティ・メディアのグレッグ・マフェイCEOと対談した際、ブラッカイマーは次のように語った。

「興味深いのは、メルセデスと組んだことで、他のチームから『ちょっと待てよ、この映画はメルセデスが主人公になるんだから、俺たちは悪者にされるんじゃないか』と言われたことだ」

「レッドブルは『我々がヴィランになるんだ』と言っていた。彼らが悪役になるわけじゃないと説得するのに3年かかった。そしてようやく、全チームが私たちのために本当に力を貸してくれるようになったんだ」

 この映画のタイトルが7月に明らかにされたとき、批評家たちからは様々な反応が寄せられた。その単純化された『F1』というタイトルによそよそしい反応を示す者や、あるいはマーケティングのための作品だという烙印を押す者もいた。

 この単純化されたタイトルがなぜ重要なのかと問われ、ブラッカイマーは「これまで最高のレース映画はル・マン(栄光のル・マン/1971年公開)とグラン・プリ(1966年公開)だった」と答えた。

「そして今度はF1なんだ」

『F1』のイギリスでの公開日は2025年6月25日だが、世界初公開がどこで行なわれるかの詳細は未定のままだ。

 ブラッカイマーは「それは議論次第だ」とジョーク交じりに語った。

 これにマフェイが「我々にはアイデアがあると思う。私はそれを知っていると思う」と返すと、ブラッカイマーは次のように付け加えた。

「モナコでドライバーやF1チームに見せ、ニューヨークやロンドン、その他多くの都市でプレミア上映するつもりだ」

「ブラッドはこの映画に本当に投資している。彼は報道を好まないが、私たちは彼をワールドツアーに連れて行き、この映画での彼の運転と演技の努力を喜んで見せることになると思う」