MotoGPのタイヤサプライヤーであるミシュランは、バルセロナで開催されるMotoGPの今季最終戦ソリダリティGPに必要なタイヤを、わずか7日間で製造・出荷した。
バレンシアGPが豪雨災害により中止となったことで、最終戦の開催地がバルセロナのカタルニア・サーキットに変更された。この変更により、すべての関係者が大きなチャレンジに直面。MotoGPクラスへタイヤを供給するミシュランも、迅速な対応を迫られた。
他の候補地ではなくバルセロナが選ばれたのにはいくつかの理由があったが、ロジスティックスが決め手のひとつでもあった。当時考えられていた他の選択肢では、最終戦を予定より1週間遅く開催する必要があっただろう。マレーシアでの連戦も検討されたが、タイヤや燃料といった必要不可欠なコンポーネントが入手できないなどの理由から、最終的には見送られた。
バルセロナでのレース開催が決定したのは、マレーシアGPの決勝当日。ミシュランは翌週の月曜日から、同じサーキットで5月に開催されたカタルニアGPとはまったく異なるコンディションで行なわれるレースのために、タイヤの製造を開始した。
バルセロナの気象条件は重要な要素となる。この時期のバルセロナは土日とも最高気温は16度と予報されており、週末に雨が降ればさらに下がる可能性もある。今年5月のカタルニアGPは気温25度、路面温度46度というコンディションでスタートしており、今回のレースは大きく条件が異なるはずだ。
「このチャレンジは非常に重要だ。特に、我々が対応する上でマージンが少なかったからね」
ミシュランのレース部門責任者であるピエロ・タラマッソはmotorsport.comにそう語った。
「ヨーロッパでレースをするためには、コンパウンドを製造するために7日間必要だということを明確にした。そしてそれを実行したんだ」
「セパンでのレース後の月曜日にフランスで製造を開始し、今週の水曜日に(カタルニア・サーキットがある)モンメロに到着した」
「レースがヨーロッパのサーキットで開催されることで、3日間ほど時間を稼ぐことができたんだ」
今回、ミシュランがバルセロナに持ち込んだタイヤは、カタルニア・サーキットに加えフィリップアイランドでのデータも参考に、フロントタイヤ4種、リヤタイヤ3種の計7スペックだ。
通常であれば、必要なタイヤの総数は約1000本だが、普段とは異なるコンディションに対応するため、持ち込むスペックを通常より1、2種増やしたことで、タイヤの数が1400本にもなった。
「モンメロのコースはアスファルトが古く、グリップが低い」と、タラマッソは語った。
「気温は6ヵ月前に走ったときよりもずっと低い。我々はそれに適応する必要があるんだ」