女性客に対しわいせつな行為を行なったリラクゼーション店のオーナーが、11月6日に不同意わいせつと性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで逮捕された事件。集英社オンライン編集部では、4年ほど前から月2回ペースで通う常連で、逮捕1ヶ月前にも店で施術を受けた女性を取材、「悪い念をすくうような仕草の不思議なマッサージ」に関する詳細を聞いた。
「胸や局部にこそ“悪い念”が溜まると言われた」
逮捕されたのは、東京都世田谷区のリラクゼーション店「天と」の男性オーナー尾川昌史容疑者(46)で、逮捕容疑のひとつは不同意わいせつだった。
「尾川容疑者は女性客に対し『悪い念がついている。体を清めたほうがいい』と言って裸で施術を受けさせ、胸などを触る行為に及んだようです。さらに警視庁が押収した記録媒体からは、400人以上の女性が裸で施術を受けている動画など4000本以上が見つかったということで、不同意わいせつと性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで逮捕されました」(社会部記者)
都内在住の飲食店店員の女性Aさん(27)は4年前からの店の常連で、尾川容疑者が逮捕される約1ヶ月前の10月初旬にも施術を受けたという。
「私が最初に友達に紹介されたのは、同じ世田谷区内の『tento.』でした。ここでは女性従業員もいてその方がマッサージを施すこともあったようですが、一昨年くらいから店舗が『天と』に変わりました。『天と』では尾川さんのみが施術を行なっていました。完全紹介制で、公式LINEからしか予約ができない仕組みでした」
Aさんは友達から紹介された際に、「悪い念を取ってもらえるマッサージで、すごくいいから行ってみなよ」と言われたという。
「施術前にマッサージ内容を説明されるのですが、全裸で受けることと、胸や局部にこそ“悪い念”が溜まるので、できればそこは触れさせてもらえたほうがいいと言われました。さらに『この紙の、触れてほしくない箇所に丸をつけてもらいますが、過去に胸や局部に丸をつけた人は念が取れず乳がんになった人もいる。だからなるべく丸はつけないほうがいい』と言われました」
「悪い念を取らなければ乳がんになる」―そんな脅しのような妄言を客に話していたという尾川容疑者。さらにこう念押ししたという。
「尾川さんは『うちには顧問弁護士がいて、局部に触れる施術をしても大丈夫と言われてるから安心してください』と言いました。私は触れられる抵抗より悪い念を除去してほしい思いが強かったので、迷わず丸はつけませんでした」
そうして始まったマッサージ。それは不思議なものだった。
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「何かをすくうような手つきをしていました」
「前回の記事の取材に応じた方は(局部に)指を入れられたとのことでしたが、私のときはそれはありませんでした。でも、乳房や乳首はもちろん、足の付け根や局部をなでられました。そのなでるときの手つきが少し不気味で、何かをすくうような手つきをしていました。
凝りをほぐす指圧ではなく、ただなでられるだけなのでまったく気持ちよくありません。でもこれで悪い念が取れるならと、毎回90分14000円や120分17000円の施術代を支払っていました」
しかし、Aさんはなぜそんなにも“悪い念”を取ってもらうことにこだわったのか?
「私は普段から接客業をしているのと、なんとなく人から悪い念をもらって具合が悪くなるような感覚があったので、マッサージに行くというよりも悪い念を取ってもらいに行っていたんです」
では実際に、施術後は“悪い念”が取れた感覚はあったのかというと…?
「マッサージの後に、体を温める寝袋型のマットのような所に入って汗を流すのですが、その発汗効果でスッキリした感じはありました。でも、悪い念が取れたかどうかは正直わかりませんでした」
あまり効果を感じられない施術に、なぜ毎月通うほどの常連客になっていたのか。
「見えない“悪い念”だからこそ、取れるものならとってほしいと思ったからです…。実は尾川さんには信者のようなお客さんも多いみたいで、今回の逮捕を受けて、泣きながら“連絡がつかない”と動揺している方もいるようです。私自身は施術には疑問は持っていませんでしたが、盗撮は良くないとは思います」
何にせよ、悪い念を取らなかったばかりに乳がんになるなどとデタラメを触れ込むのは悪質だ。捜査関係者によると尾川容疑者は「やったかどうかわかりません」と容疑を否認しているという。
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取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班