普通の食事に戻しても再発しなくなった
さらに今から1年前、私は逆流性食道炎の改善に、より効果的な食事法を見つけました。それは、ご飯やパン、麺類など糖質の多い食べ物を控える「糖質制限食」です。
当時の私は、ストレスから来る食べ過ぎや運動不足が災いし、体重がややオーバーぎみでした。理想体重は62kgくらいなのですが、69kgまで増えました。そこで、最近はやりの糖質制限ダイエットを試すことにしたのです。
行うからには成果を出したいと思い、私はご飯やパン、麺類などの主食をいっさいとらず、糖質の摂取量を大幅に減らすハードな糖質制限を実行。すると、5kgの減量にすんなり成功し驚きました。
それ以上に驚いたのが、逆流性食道炎の再発がピタリと治まったことです。実は、半日断食をやめていた期間に、逆流性食道炎がときどき再発していました。しかし、糖質制限ダイエットを終え、普通の食事に戻したにもかかわらず、再発がいっさいありません。
「逆流性食道炎が治ったのは糖質制限のおかげかもしれない」と思い、調べてみたところ、糖質制限食による糖尿病治療の第一人者の江部康二医師が、「逆流性食道炎の改善には糖質制限食が有効」と報告している記事を見つけました。
江部先生が理事長を務める高雄病院では1999年から、糖尿病や肥満の患者さんを対象に糖質制限食を導入しています。その結果、糖尿病や肥満の改善はもちろん、逆流性食道炎、アトピー性皮膚炎、花粉症、片頭痛など、さまざまな症状に効果があることが判明。逆流性食道炎の患者さん20人に糖質制限食を試してもらった結果、1人を除いた全員に、症状の改善が見られたといいます。
なかには、中学生のころから逆流性食道炎に苦しんでいて、食後は必ず胸やけを起こしていた人が、糖質制限食を始めたとたん、症状がピタリと止まったという、顕著な改善例もあったそうです。
私自身の体験を振り返っても、半日断食よりも糖質制限食のほうが、より早く確実に、逆流性食道炎の改善に効果があると実感しています。糖質の多い食事は胃や体に負担をかけ、胃から食道への胃酸の逆流を招きやすいのではないかと思います。
半日断食や糖質制限食は、食事の改善で症状自体を出ないようにするもので、薬に頼らず根本的な解決を目指すことができます。いずれも食事の量を極端に減らさなければ、体に害を及ぼす心配はないでしょう。
私はかなり本格的に取り組みましたが、甘い食べ物を控えて主食の量を少し減らす、夕食をとる時間を早めにして朝食は抜く、という緩い食事制限だけで効果が出る人も多いようです。
食後の胸やけや胃の痛み、酸っぱいものがこみ上げてくるといった不快症状に悩んでいる人は、一度試す価値が大いにあると思います。
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糖質制限で薬が不要になった報告もある
愛知医科大学病院副院長・愛知医科大学内科学講座教授 春日井邦夫
松原さんのように、一食だけ抜いてみるといった半日断食なら、胃を休ませるという面で効果的だと考えられます。食べ過ぎると胃酸の分泌過多を招くので、食事の量を腹八分目にとどめることもポイントになります。
糖質摂取量が増加すると逆流性食道炎になるリスクも上がり、糖質制限をすると10週以内に全員が改善して投薬を中止できたという報告もあります。極端でなければ、糖質制限を試してもいいでしょう。