茎を釣り竿、花を鯛に見立てて「タイツリソウ(鯛釣草)」。まるで童子の「浦島太郎」が釣り上げた鯛を肩にかついで意気揚々と帰ってくるような可愛らしい姿です。タイツリソウが咲くのは5月初め。折しも子供の日。天真爛漫な草姿のタイツリソウは、あなたの庭にパワーを与えてくれるでしょう。育て方も簡単で、丈夫なタイツリソウをコレクションに加えてみませんか。
季節の合間をつないでくれるタイツリソウ
春爛漫と咲き誇っていた桜も散り、いつしか葉桜となる頃。徒長したパンジーやビオラ、枯れ始めたチューリップやヒヤシンスの葉などを片付けながら、移りゆく季節に「春愁」の言葉が重なります。そんなもの憂い心を元気づけてくれるように花をつけてくれるのが「タイツリソウ」。弓形に伸びた茎に鮮やかな濃いピンク色のハート形の花をいくつも吊り下げて咲く愛らしい花。
タイツリソウは、ケシ科、ケマンソウ属の多年草。原産国は中国東北部から朝鮮半島。自生地は森林や湿った深い谷間にあります。日本には室町時代に渡来し、古くから栽培されてきました。農家や旧家の半日陰の庭に咲いている姿がしばしばみられます。
多年草のため、秋には茎や葉が枯れて地上部がなくなり休眠に入ります。根の状態で冬を越し、翌年また芽吹きます。タイツリソウは「ケマンソウ」という別名があります。ハート形の花の形が、寺院のお堂を飾る装飾品「華鬘(ケマン)」に見立てられて名付けられたものです。華鬘とは「華やか」な「草や花で作った髪飾り」という意味。素敵な名前ですね。
ちなみに、英語では「bleeding heart(血を流す心臓)」という名前です。ハート型の花の先に滴のような突起があることから名付けられたのでしょうか。花言葉は「失恋」。血の涙を流しているような花という見立てです。ドラマチック!
また、葉がボタンの葉に似ているため、フジボタンやケマンボタンの別名があります。原産国の中国では、花が巾着に、葉がボタンに似ているためか、「荷包牡丹(きんちゃくぼたん)」と呼ばれているそうです。こうした色々な名前の由来を知るのも興味深いです。
(広告の後にも続きます)
花色、葉色のバリエーションに注目!タイツリソウの品種
ピンク色の花の他に、次の花色の品種があります。
白花タイツリソウ
花の色が白色に品種改良されたもので、栽培環境によってクリームっぽい色になったり、真っ白になったりします。涼しげな姿が魅力的で、ほのかな優しい香りが楽しめます。ホワイトガーデンの素材としてもおすすめ。
タイツリソウ‘バレンタイン’
花の色は濃い紅色。花だけでなく茎や葉もピンクのタイツリソウより濃いのが特徴で、庭での存在感は抜群。まるでオブジェのように庭で目を惹きつけ、個性的なワンシーンを演出するのに活躍してくれます。耐寒性が強く−40℃まで耐えられます。
タイツリソウ‘ゴールドハート’
葉の部分が美しい黄色の品種。太陽が当たると金色に輝いて見える様子が名前の由来。
カラーリーフプランツとしても親しまれており、花壇を豊かに彩るのに欠かせません。補色のブルー、紫系の花と一緒に植えるとお互いが引き立ち合い、きれいですよ。
<ゴールドハートとの混色におすすめのブルー・紫の春の花>