定義や分類は実はあいまい。ピーマンとパプリカの違い、そして見逃せない豊富な栄養について解説します。
ピーマンとパプリカの違い、みなさん説明できますか?
緑色のものがピーマンで、赤や黄色といったカラフルなものをパプリカと、認識されている人も多いのではないでしょうか。 しかし、店頭の野菜コーナーでは、赤や黄色のピーマンが「カラーピーマン」と表記して売られています。そのとなりで、赤や黄色の「パプリカ」が並んでいることも。これ、どういう違いなのでしょう。
定義や分類は、実はあいまい
一般的には、明治時代にアメリカから伝わった中型のものが主に「ピーマン」、1993年ごろにオランダから輸入し普及された大型で肉厚な品種が主に「パプリカ」と呼ばれています。ですが、ピーマンもパプリカも植物学上はナス科のトウガラシ属で、同じ品種です。
トウガラシ属は、鷹の爪などの「辛味種」と、伏見甘(ふしみあま)やししとうなどの「甘味種」に分けられ、ピーマンやパプリカは、この「甘味種」に分類されています。
「色」がもつパワーはあなどれない
「ピーマン」と「パプリカ」は同じ品種なので、栄養成分に違いはありません。しかし、「色」が変わると成分も変わってきます。日本食品標準成分表にも、「青ピーマン」「赤ピーマン(別名:パプリカ)」「オレンジピーマン(別名:パプリカ)」「黄ピーマン(別名:パプリカ)」と、色別に細かく分けて成分値が掲載されています。
実は、赤や黄色のピーマン(パプリカ)は、熟す前はどれも緑色です。カラーピーマン(パプリカ)には、それぞれ、赤、オレンジ、黄色、紫、茶などたくさんの色の種類があります。その中のひとつに「緑色」があると思われがちですが、そうではなく、緑色が熟すと赤や黄色になるのです。
緑色のピーマンと比べ、赤や黄色、オレンジのピーマン(パプリカ)のビタミンC量は、2倍以上(下の表を参照)。
成人女性の1日のビタミンC平均推定必要量は85mg、推奨量は100mgですから、赤ピーマン(パプリカ)や黄ピーマン(パプリカ)を100g(ピーマンなら約3個、パプリカなら約1個)摂取すれば、軽く1日のビタミンCがとれるということです。ビタミンC量は、果物のオレンジと比べても、大きく上回ります。
そして、抗酸化作用をもつβ-カロテン含有量でも、赤ピーマン(パプリカ)が緑ピーマン(パプリカ)の2倍以上ですから、赤いものを料理に使わない手はありません。
赤やオレンジ、黄色のピーマンは、緑色のものに比べてくさみが少ないので、生食にも向いています。そして、抗酸化作用のあるβ-カロテンは、油と炒めることで吸収率がアップするので、炒め物にもおすすめです。
特別なサプリメントをとらなくても、カラフルなピーマンで栄養価がぐんとアップ。さらに、食卓も華やかに彩ることができますよ!
おくだじゅんこ/管理栄養士
広島生まれ。2004~2012年の8年にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。
病院栄養士を経て、現在は広島酔心調理製菓専門学校にて、調理師やパティシエの卵たちと「健康且つおいしい!」を追求し、日々奮闘中。