「個人年金保険は入らない方がいい」と聞いて、個人年金保険への加入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
老後を見据えた貯蓄を計画的に進められる点や個人年金保険料控除が利用できる点など、確かなメリットがある一方で、資産形成を進める上で懸念点があるのも事実です。
そこで本記事では、個人年金保険に入らない方がいいとされる3つの理由と、そこから分かる「おすすめする人・しない人」の特徴を解説します。
個人年金保険に入らない方がいい3つの理由
インフレの影響がある
途中解約により元本割れするリスクがある
受け取る年金は課税対象になる
個人年金保険とは? 種類やメリット・デメリットと受給額のシミュレーションをわかりやすく解説
個人年金保険に入らない方がいい3つの理由
個人年金保険に入らない方がいいと言われる理由は、主に次の3通りが挙げられます。
個人年金保険に入らない方がいい3つの理由
インフレの影響がある
途中解約により元本割れするリスクがある
受け取る年金は課税対象になる
1. インフレの影響がある
インフレとは、市場全体の物価が上がることで相対的に貨幣価値が下がることを指します。
一般的な個人年金保険は、契約時の予定利率によって払込保険料の総額が決定されており、保険期間中は金利が固定されている状態です。
金利が固定されている状態とは、すなわち市場の物価変動の影響を受けないという意味で、たとえ身の回りの物価が上昇しても個人年金保険の予定利率は上昇しません。
つまり、個人年金保険の加入後にインフレ(物価上昇)が進んでしまうと、実質的に個人年金保険の資産価値が目減りすることになってしまいます。
特に個人年金保険は商品の性質上、加入期間が20年や30年と長期化しやすく、その間にインフレが発生する可能性も十分に考えられます。
資産形成の方法の中でもインフレに弱い商品と考えられるため、個人年金保険は入らない方がいいといわれています。
2. 途中解約により元本割れするリスクがある
個人年金保険に入らない方がいい理由として、個人年金保険は突然の高額な支出に備えるのが難しい点が挙げられます。
個人年金保険は保険期間の途中で解約しても「解約返戻金」が支払われます。
解約返戻金があることによって、払い込んだ保険料を無駄にせずに済む点が大きなメリットです。
一方、年金を受け取る前に個人年金保険を解約した場合、払い込んだ保険料の総額を下回る解約返戻金しか支払われず、元本割れを起こす可能性があります。
個人年金保険の保険料は払込期間が20年以上になるケースも多いですが、長い人生を過ごす中で様々なライフイベントが発生し、その際にまとまった資金が必要なケースも起こり得るでしょう。
そのような場合に短期解約をしてしまうと、資産形成を目的に加入したはずの個人年金保険が原因で、資産を大きく減らす事態になりかねないので注意が必要です。
3. 受け取る年金は課税対象になる
個人年金保険の保険金は、受け取りの際に「所得税」または「贈与税」の課税対象となります。
日本の税法では、税区分ごとに非課税枠や基礎控除などが設けられていますが、所得税よりも贈与税のほうが税率は高めで、基礎控除も少額です。
一般的には、贈与税のほうがより多くの税金を納めることになるため、基本的には契約者と受取人を同一人物に指定したほうが良いとされています。
上記に加えて、個人年金保険の受け取り開始後に受取人が死亡すると、年金受給権を相続した方に対して「相続税」が発生する場合もあるので注意が必要です。
個人年金保険で発生する税額については、下記の記事で詳しくシミュレーションしているので、ぜひ参考にしてください。
個人年金保険の税金は受け取り方によって変わる?税金の種類と計算方法を紹介
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個人年金保険とは?
この項目では、個人年金保険について再確認していきます。
個人年金保険とは?
個人年金保険の受け取り期間と保障期間の違い
変額個人年金保険
外貨建て個人年金保険
個人年金保険の受け取り期間と保障期間の違い
個人年金保険とは、払い込んだ保険料をもとに、契約時に定めた受け取り期間中に年金形式で保険金が受け取れる保険商品です。
保障期間や受け取り期間の違いによって、次の3通りに分類されます。
将来的に受け取ることができる年金額は、契約時に定めた金額が支払われる「定額型」、受け取る金額が変動する「変動型」の2種類に分けられます。
変動型の個人年金保険の場合、保険会社によって積み立て方法が異なります。
ここでは大きく2種類の積み立て方法についてご紹介します。
変額個人年金保険
変額個人年金保険は、保険会社の運用実績によって将来的に受け取れる年金額が変動するタイプの商品です。
契約者から集めた保険料を元手として、保険会社が株や債券などで運用を行い、その結果を反映した金額が年金として契約者に分配されます。
運用結果によっては大きなリターンを期待できる一方で、元本割れのリスクがあります。
死亡給付金には最低保障があるものの、解約返戻金は最低保障がほとんどありません。
また、諸経費というコストが発生する分、加入者の保険料負担も重くなりやすい傾向にあります。
外貨建て個人年金保険
外貨建て個人年金保険は、積立金を外貨で運用するタイプの商品です。
円建てよりも高い利回りが期待できるため、個人年金保険のデメリットとも言えるインフレや円安リスクに強い点が大きなメリットといえます。
一方、為替手数料や解約時の為替控除など、円建てでは発生しないコストがかかることに加え、年金の受取期間中も管理費などの追加コストが発生する点には注意が必要です。