ウェディングドレスを広めた 桂由美さん死去

日本の婚礼衣装にウェディングドレスを広めていった、ブライダルファッションデザイナーの桂由美さんが4月26日に亡くなった。94歳だった。 桂さんは東京生まれ。共立女子大を卒業後、パリに留学。帰国後、日本初のウェディングドレス専門店を開いたほか、全日本ブライダル協会を設立。また有名人の婚礼衣装を数多く手掛けたことでも知られている。25年にわたって取材してきたマリ・クレールデジタル編集長の宮智泉が、桂さんの活動や素顔をつづった。

「たくさんの人に幸せになってほしい」


2020年7月2日 ©読売新聞社

女性の夢やあこがれをかなえたい。桂さんがぶれることなく仕事に打ち込んだのはこうした強い思いがあったからだろう。次々に新しいスタイルのウェディングドレスを生み出し、世界にも進出し、結婚式の新たな演出なども提案してきた。

コロナ禍で外出もままならなくなったが、その思いが衰えることはなかった。落ち着いてきたころから活動を再開し、今年3月にはファッションショーも開催した。 4月5日の取材でも、「若い人たちに仕事の面白さを伝えたい」「東京都内に自身のドレスを集めたミュージアムを作りたい」「夢のあるウェディングドレスをもっとデザインしたい」と、実現したいと思っていることがどんどん出てきた。私が知っている桂さんは、どんな時も夢を熱く語っていた。ウェディングドレスを通して人を幸せにすることが、桂さんの幸せであり、元気でいるエネルギーだったに違いない。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)