社会保障は増税の言い訳?


増税
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このように岸田首相は再三にわたり、国会で「財源は徹底した歳出改革等で確保する」「追加負担は生じない」「実質的な負担にはつながらない」と説明しています。にもかかわらず、国民に一律で負担増を求める法案を可決しています。夫婦ともに年収400万円の家庭にとって、年間で1万5600円という金額が大きな負担であることは言うまでもないことでしょう。そもそも「実質的な負担」とはどういった意味なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。筆者も分かりません。政府が各企業に対して、負担増加分の賃上げを強制的に要求するということなのでしょうか。

子ども・子育て支援金は社会保障の一つですが、社会保障を充実させるために行われたのが消費税率の引き上げです。2019年10月に消費税は8%から10%に引き上げられましたが、その理由はこうです。

「みんなが受益する社会保障の負担は、あらゆる世代で負担を分かち合いながら今の世代でまかなう必要があります。また、少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、従来、高齢者中心となっていた社会保障制度を拡充し、子育て世代のためにも使えるよう「全世代型」に転換していかなければなりません。こうした背景の下、令和元年10月に消費税率は8%から10%に引き上げられました。」(財務省ホームページより引用)

子ども・子育てを含めた社会保障を充実させるために消費税を引き上げたのにもかかわらず、それから5年も経たないうちに新たな増税とも呼べるような負担増の制度が誕生したわけです。こうなってくると「社会保障の充実」は消費税増税のための言い訳に過ぎず、子ども・子育て支援金も同様なのではと勘繰りたくもなります。

そういった疑念を国民に持たれないよう、せめて消費税の引き上げ分や健康保険に上乗せされることが決まったお金が「何にどれくらい使われたのか」を公表すべきだと思いますが、読者の皆さんはいかがでしょうか。