土づくりのポイントは土を露出させないこと
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ここで最大のポイントは、「土を露出させない」ことです。これが最も重要です。
じつは、一番土壌にとってよくないのは、地面がむき出しになっている状態です。地面がむき出しになっていることで起きる主な土壌劣化の原因について、以下にまとめます。
1 栄養分の喪失
土壌表面の有機物や栄養分が風雨によって流出することで、土壌の肥沃性が低下します。これにより、植物の生育に必要な栄養素が減少し、植物の生育が悪くなる可能性があります。
2 土壌の水分保持能力の低下
土壌がむき出しになると、水分の蒸発が増加し、土壌の水分保持能力が低下します。これにより、乾燥に弱い土壌となり、植物の生育に影響を及ぼすことがあります。
3 土壌の保護機能の喪失
土壌は本来、風や水の浸食から植物の根や有機物で保護されています。むき出しの土壌ではこの保護機能が失われ、浸食が進むことで土壌の層が削られることがあります。
4 生態系への影響
土壌が劣化することで、土壌中の微生物や動植物の生息環境が悪化します。これにより生態系全体に影響が及ぶ可能性があります。
これらのデメリットはほんの一部で、土がむき出しになることでこれ以外にもさまざまな弊害が起こります。
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実践的な雑草対策
ここからは、土がむき出しになるのを防ぐために明日から使える実践的な方法を3つお伝えします。
【① 土が露出しないように有機物で覆う】
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この方法は雑草が生えるのを抑えつつ、土壌を豊かにする、一番おすすめの方法です。腐葉土やバーク堆肥などのマルチング資材を活用し、地面を覆います。土壌浸食の防止、土壌温度の調節、土壌構造と肥沃度の向上、雑草抑制、水分保持などの効果があります。
この方法が有効な理由の一つに、雑草の発芽抑制効果があることです。
植物の種子には、好光性種子という光が種子に当たると発芽する性質を持つものと、嫌光性種子という発芽に光を必要としないものがありますが、雑草に多いのは好光性種子。特に畑で見かけるような雑草には、この性質があります。
雑草は人の営みに合わせて進化しており、特に耕すという人間の行為に合わせてこの特性が効果を発揮しています。耕すたびに、土の中に眠っている種子が発芽するようにできているのです。
この特性を逆手に取り、光が当たらないように有機物で地面を覆えば雑草の発芽を抑えることができるのです。
【② グラウンドカバー植物で覆う】
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雑草が生えないようにグラウンドカバー植物で地面を覆う方法も有効です。
土壌浸食の防止、土壌肥沃度の向上、雑草抑制、病害虫の発生抑制、水分保持などの効果があります。
植物で地表面を覆うことで、①でも述べたように、好光性種子の性質を逆手に取り、雑草の発芽を効果的に抑制しつつ、雑草の成長も抑えます。植える植物によっては美しい景観を演出したり、ミツバチや蝶などの蜜源植物として生物多様性の向上を図ることもできます。
ただし注意点としては、グラウンドカバー植物自体が繁茂しすぎてしまうこともある点があります。一般的に、グラウンドカバーとして選ばれる植物は、生育旺盛で密に茂るものが多いため、コントロールできるかに注意して、適切な植物を選ぶことが重要です。
実際に私も実践しておすすめしたいのが、空いている場所には積極的に花を植えること。雑草は何も生えていない所に旺盛に生えますが、他の草花がある場所は嫌がる傾向があります。雑草の種子は他の植物が生えていることを認知できるため、先手必勝で雑草が生える前に草花の種子を播いて発芽させるか、苗を植えるかすれば、雑草の発芽と成長を抑えることができるのです。
【③ 雑草を活用する】
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これは、生えている雑草を上手く活用する方法です。
生えてしまった雑草を切り、その場所に敷き詰めます。こうして地表をカバーすることで雑草の発芽を抑えつつ、有機物を地面に置くことで時間とともに土に還し、土壌を豊かにするというやり方です。
雑草活用の効果的な方法として次の2パターンあります。
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1つ目は雑草の成長点より下を切り、雑草が再生しないようにして刈り取った草を敷き詰める方法です。成長点とは、茎や根の先端にある、細胞分裂が活発なところ。ここから新しい細胞が分裂して植物が成長します。成長点より下で切れば、雑草が再生しないためローメンテナンスになります。ここでのポイントは「根っこを切ること」! 根は一番弱いため、楽に切れます。
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2つ目が雑草の成長点をあえて残して再生させ、伸びたらまた切って地面に敷き、有機物層を厚くする方法です。この方法は手間がかかりますが、有機物層が厚くなることでミミズなどの土壌生物が増え、土壌構造や土壌肥沃度が向上して植物の育ちがよくなります。イメージとしては人工的に森の腐葉土を再現する感覚です。
特にイネ科の縦に伸びる草は、切っても切っても伸びるので、有機物層の構築に何度も使えておすすめです。