年末調整の計算の仕方
年末調整を理解するためには所得税の計算過程を理解しておかなければなりません。所得税は以下のような流れで税額を算出します。(※給与以外の収入がないとします)
給与収入から給与所得を計算
の給与所得から配偶者控除、基礎控除、生命保険料控除などの所得控除を差し引く
に税率を乗じる
いわゆる額面の年収から以下の表1で計算される給与所得控除を差し引きます。自営業の人などは必要経費を計上するため、かかった費用の領収書を全部揃え、確定申告を行います。この「自営業の必要経費」と同じような位置づけなのが、給与所得控除です。少なくとも55万円、最大195万円を控除することができます。
<表1>
以下、表2は年収300~600万円の給与収入から給与所得控除を差し引いた「給与所得」の金額をまとめた早見表です。
<表2>
例えば、年収400万円の場合、給与所得は276万円となり、この金額から、基礎控除や社会保険料控除といった所得控除を差し引き、税率を乗じます。このような流れで計算した税額と毎月源泉徴収された金額が一致しないことが多いため、その差額を年末調整で計算します。
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年収400万円の独身会社員だと、還付金はいくら?
還付金
【画像出典元】「stock.adobe.com/78art」
では、ここで年収400万円・独身の人を事例にして具体的に見ていきたいと思います。一般的によくあるケースをもとにシミュレーションしてみます。
先に紹介しましたように年収(給与収入)400万円の場合、給与所得は276万円です。
(会社員Sさん・独身・30歳)
※モデルケースであり、概算です。復興特別所得税は考慮していません。
a.基礎控除:48万円
基礎控除は所得が2400万円以下の人は一律で48万円です。よって多くの会社員は基礎控除の対象となります。
b.社会保険料控除(iDeCoも含む):60万円
社会保険料控除は加入する健康保険等によって異なりますが、年収の15%程度となるケースが多いです。健康保険料や厚生年金保険料、40歳以上は介護保険料など、負担しなければならない保険料は払った金額の全てが社会保険料控除となります。また、個人型確定拠出年金であるiDeCo(イデコ)に加入している人も多いと思いますが、iDeCoの掛金も同様に全額所得控除となります。今回は400万円の15%での概算としました。
c.生命保険料控除:8万円
生命保険料控除は「一般」「年金」「介護医療」と3つの控除があり、それぞれ最大4万円です。30歳ぐらいの会社員の場合、3つ全て上限まで控除を受けているというケースはあまり見ません。そのため、今回は「一般」と「介護医療」の2つの控除上限額を採用し、8万円の控除としました。生命保険料控除は毎年10月中旬から下旬以降、保険会社から年間の保険料総額などが記載された書面が郵送で届きますので、そちらを年末調整時に会社に提出することになります。
a~cを合わせると116万円となりました。よって給与所得の276万円からこの金額を差し引くと課税所得が分かります。
課税所得:276万円-116万円=160万円
課税所得が195万円までの所得税の税率は5%であるため、
160万円×5%=8万円
よって、Sさんが年間を通して負担すべき所得税額は8万円であることが分かります。
では、Sさんはいくら源泉徴収されていたのでしょうか?
源泉徴収額は以下国税庁のホームページに毎年掲載されます「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに徴収されます。
実際は賞与の有無、残業代が多い月など他の要因を考慮する必要がありますが、年収400万円から社会保険料を差し引いた額を単純に12カ月で割り、上記の源泉徴収税額表から考えると、Sさんは毎月7710円程度、源泉徴収されていたことになります。年間にすると9万2520円です。
よって、本来納めるべき所得税は8万円でしたので、その差額1万2520円が還付されることになります。