「サボテンのまち春日井」プロジェクトとは


が一般公募により決定したロゴマーク。

春日井市では地元の特産であるサボテンで地域の活性化や観光振興を目指し、商工会議所が中心となり2006年に春日井サボテンプロジェクトが発足。

2022年には春日井市役所にが発足し、経済振興課の柴田知宏主査の指揮のもと、「サボテンのまち春日井」プロジェクト(以下プロジェクト)として新たに展開し、多種多様な取り組みを行っています。


プロジェクトの旗振り役を務める春日井市役所経済振興課の柴田知宏主査。

どんな人が関わっているの?

このプロジェクトは、春日井市観光コンベンション協会、そして前出の柴田知宏主査が連携し、中部大学准教授でサボテンによるソリューション研究の第一人者である堀部貴紀氏がプロジェクトの振興アドバイザーを務めています。


なぜかマッチョな振興アドバイザー中部大学堀部先生

そして、地元の農家は生産の面で、飲食店は食の面で、中小企業は商品開発、大企業は催事面で、アーティストやデザイナーはクリエィティブの面で、教育機関はサボテンを用いた情操教育の面でと、それぞれが自分たちの専門分野で培った技術や知識を活かし、サボテンを軸に地域を盛り上げ活躍しています。

このように、官産学民が一体となり地元特産のサボテンに関する新たな体験と学びを創造し、春日井=サボテンのまちを全国規模で認知してもらうのが本プロジェクトの目的です。

またサボテンを通じたコミュニティの結束力が、春日井市をさらに魅力的な場所にしています。

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どんなことが行われているの?

イメージキャラクターが活躍

サボテンのまち春日井を賑わしているのは何も人間ばかりではありません。
見てくださいこの胸キュンのかわいらしさ!

この子たちは、左から、おしゃれでおしゃまな春代(はるよ)、元気で食いしん坊の日丸(にちまる)、無口で照れ屋の井之介(いのすけ)という本プロジェクトのイメージキャラクターで、サボテンのまち春日井を内外にアピールするべく大活躍中!

ちなみに、三人の頭文字を合わせると「春日井」になるんです。

でもね、ただ可愛いだけじゃなくて、けっこうコンセプトが深いんですよ。
「彼らに出会った人々は、いつのまにかサボテンよりも人間のほうがトゲトゲしていることに気付かされる」、という、何やら耳が痛くなるような・・・。

春日井に行ったらぜひ、出会った人を老若男女問わずハッピーにする春代、日丸、井之介に会いに行きましょう!

サボテンダンスミュージックでDancing!

プロジェクトは音楽の面でもサボテンのまち春日井を盛り上げています。

このサボテンダンスミュージック『かすがいサボテンピース』は、春日井広報大使で保育士シンガーソングライターの桃乃カナコさんが制作したもので、プロジェクトを象徴する曲として春日井市民、特に子供たちを虜にしています。
私も子供たちに混じってPVに参加したかったな・・・。

“さぼがーる”が活躍


写真提供:春日井市役所

旗振り役を務める市役所も負けてはいません。

市役所の新人女子職員によって結成された「さぼがーる」(上写真)は、サボテンでやってみたいさまざまなイベントを企画したりリポートすることにより、春日井の内外に春日井サボテンの魅力を日々発信しています。

イベントでサボテンを満喫

無印良品 イーアス春日井

プロジェクト発足以来、市内ではサボテンにまつわる数々のイベントが開催されていますが、中でも注目したいのが、「無印良品 イーアス春日井」で行われるサボテンイベント。

市内の大型ショッピングモール、イーアス春日井内にある、国内最大規模の売場面積を誇る「無印良品 イーアス春日井」では、サボテンの実食体験イベントや、寄せ植え体験など、サボテンをテーマにしたさまざまな催事が行われています。
無印良品といえば、衣料品、生活雑貨、食品を取り扱っていることで知られていますが、ここ無印良品 イーアス春日井は、地元のサボテン農家と連携し、食と園芸の両面で特産のサボテンの普及に努めているとても珍しい店舗なのです。


2024年1月に行われた、好きな苗を選んで作る「サボテン・多肉の寄せ植え体験ワークショップ」での寄せ植え(写真左)と、2024年6月に行われた「サボテングルメフェス 春日井シェフ’s」に参加したシェフたちと井之介(写真右)。
写真提供:

スカイサボテン

市役所庁舎隣にある文化フォーラム春日井4階屋上庭園「スカイフォーラム」では、サボテンイベント「スカイサボテン」が行われています。

スカイサボテンは毎年秋におこなわれ、観賞用サボテンの展示や食用サボテンの試食、サボテングルメの販売、ワークショップやゲームなど、秋空のもとでサボテンを満喫できるイベントとして人気を博しています。

”さぼがーる“による「スカイサボテン」のリポート(上:前編 下:後編)

こうしたイベントの開催により地域の活性化が図られ、サボテンを通じた新しい観光資源としての可能性も広がっています。

さらに、地元の商店や農家と協力することで、地域経済の振興にも寄与しており、イベントを通じてサボテンが春日井市のシンボルとして定着しました。

サボテングルメ

春日井市を訪れたなら、ぜひ試していただきたい「サボテングルメ」。

サボテンのまち春日井プロジェクトでは「サボテングルメをカルチャーへ」をスローガンに、サボテンを食の面でもクローズアップしています。

え、サボテンって食べられるの? と日本ではあまり馴染みがないサボテン食ですが、じつは海外ではごく一般的な食材として、さまざまな料理で親しまれているんです。

もちろん食べられるのは食用として栽培されたサボテン(主にウチワサボテンのバーバンク種、マヤ種)に限られますが、その味はさっぱりとしていて、酸味とオクラのようなとろみがあるのが特徴。

パスタや肉料理に使われるほか、メキシコやカリフォルニア南部などではサラダのトッピングや、中にはサボテンそれ自体を「カクタスステーキ」としてメニューに加えている店もあります。

サボテン食において特筆すべきはその栄養価!

商品開発

市内ではサボテンをフューチャーしたさまざまな商品を入手することができます。

例えば、サボテンを原料に使った食品。
サボテンを使用したは低脂肪でサッパリとした後味が特徴で、アンテナショップなどでも売れ筋の人気商品です。

また、サボテンを練り込んだきしめん「サボヽめん」や、サボテンを原料に使用したまであり、サボテン食のレパートリーの多さに圧倒されます。

化粧品ではサボテンの保水力が威力を発揮します。
市内の化粧品メーカーはサボテンコスメブランドを展開し、化粧水や洗顔フォーム、ハンドクリーム、ヘアケア商品と、さまざまなサボテンコスメを販売しています。

もちろん、これらの商品のおおもととなる食用サボテンも、市内の老舗サボテン園で購入できます。


春代、日丸、井之介のマスコットキーホルダー。私のお気に入りだ。

このほか、Tシャツやキャップをはじめとした衣料品や、文房具など、ここでしか手に入らないサボテンをテーマにしたアイテムが目白押し。

店舗によっては通販も行っているので、お住まいの地域でサボテングルメやサボテンコスメを楽しむことができますが、ぜひ観光で訪れて「おみやげ」として体験と一緒に持ち帰ってほしいですね。

教育

そんなサボテンに子供の頃から親しんでもらおうと、平成19年に学校給食でもサボテンを食材に使ったメニューがスタートし、現在も続いています。


写真提供:春日井市役所

また、春日井市観光コンベンション協会が配布している栽培キット「育てる春日井サボテン」などを通じ、春日井で技術が確立されたサボテンをタネから育てる実生を体験したり、小学校3年生になると実際に地元のサボテン農家後藤サボテン園に赴き、トゲがない品種(あるいは少ない品種)の苗を自分で選び、植え替えて持って帰るという実習も行われています。


栽培キット「育てる春日井サボテン」。袋に入ったタブレット状の土をカップに置き、水をかけると膨らむので、そこにタネをまき、カップのまま育てる。


サボテン発芽の様子。[写真左]発芽直後の稚苗(ちびょう)=1mm未満
[写真右]稚苗から約2カ月が経過し5mmほどになった幼苗(ようびょう) ※写真は栽培キットによるものではありません。
※左右の品種は異なります。

このように子どものうちからサボテンに慣れ親しんでもらい、ひいては家庭でもサボテンに親しみを感じてもらい、郷土愛を育む。
それが春日井市のサボテン教育なのです。羨ましい・・・。

春日井の子どもたちは幼い頃からサボテン振興の一翼を担っているのですね。
究極としてはサボテン農家が抱えている現在の後継者不足という問題の解決にもつながれば、とても素晴らしいことですね。

中部大学堀部先生と連携し、サボテンの科学的な魅力を発信


中部大学でサボテンの研究を行う堀部貴紀准教授と学生たち。

春日井市に校舎を構える中部大学。
大学の応用生物学部環境生物科学科で教鞭を執る堀部貴紀准教授は、国内でも著名なサボテン研究の第一人者です。
特に食用サボテンに関する研究では国連からも期待されている人物です。

というのも、国連の食糧農業機関FAOが2017年に「環境適応力が非常に強く、非農業適地でも比較的容易に育つウチワサボテンは、食料安全保障にとって食糧危機を救う重要な作物になりうる」と発表したことにより、ウチワサボテンがサステナブルな食材として注目を集め、その分野のエキスパートである堀部先生の研究がFAOから注目されているのです。

プロジェクトはそんな堀部先生の研究とも連携し、春日井市がサボテンの名産地にして、その文化的価値を創造している街であることを、全国はもちろん、将来的には世界中に広めたいとも考えています。