ポイント2
コンパニオンプランツを植える
家庭菜園では認知度の高いコンパニオンプランツですが、庭づくりにも応用すると、効果的に害虫を抑制する効果が期待できます。
コンパニオンプランツとは、異なる植物を近くに植えることで、相互に利益をもたらすような組み合わせの植物のことを指します。コンパニオンプランツにはいくつかのメリットがありますが、その中でも代表的な2つをご紹介しましょう。
① 害虫の抑制
Kabar/Shutterstock.com
例えば、コンパニオンプランツの代表格であるマリーゴールド。マリーゴールドはその香りで多くの害虫を追い払うといわれ、さらに根からは病気を引き起こすセンチュウを寄せ付けない成分を分泌し、病害虫対策に効果があるとされています。
また、ニンニクやセージなどのハーブ類は自身に害虫を寄せ付けにくくする成分を持っており、これが一緒に植えたほかの植物にもよい影響を与えることがあります。ニンニクはアリウムのような美しい花が咲きますし、セージも美しい紫やピンクの花が咲きます。どちらも料理に使えるので、一石二鳥です。
パクチーの花。LFO62/Shutterstock.com
私のローズガーデンではハーブを積極的に取り入れていて、パクチーやブロンズフェンネル、ミントも育てています。パクチーの花は、サイズは小さいもののオルレア‘ホワイトレース’によく似ていて、とても可愛らしいです。花が咲くと虫がたくさん来てくれ、害虫抑制にも役立ちますよ。もちろん食材としても利用していて、健康によい成分が豊富なのも嬉しいですね。
ブロンズフェンネルは、銅葉が美しく庭の引き立て役になります。サラダやスープ、魚料理などさまざまな料理に使え、切る度に広がるアニスに似た甘美な香りに癒やされます。フェンネルも、花が咲くと虫たちが喜ぶ蜜源植物になります。
ハッカは日本生まれのミントの一種。Zulashai/Shutterstock.com
ミントもコンパニオンプランツとして活用しています。ミントの香り成分は、餅にカビを生えにくくするほどの抗菌効果があります。土壌にはさまざまな菌類が生息しているので、病気対策として取り入れています。また、花の少ない真夏に美しい花を咲かせてくれて、さまざまな虫の蜜源になりますし、葉もバッタ類の好物のようで、生物多様性を実現する力はハーブの中でも最も強いのではないかと感じています。品種により香りが異なるので、お好みの香りを選んで取り入れてみてはいかがでしょうか?
私のおすすめ品種は、優しい香りの日本ハッカや北見ハッカ、銅葉が美しく香りがよいクールミントです。夏にはミント水や、カルピスに浸けて味を移して飲んでいます。爽やかな味と香りで、夏バテした身体をリフレッシュさせてくれます。
取り入れる際の注意点として、よく知られているようにミントは繁殖力が強く、地下茎で増えることを考慮しておきましょう。特にアップルミントは繁殖力が強い種類です。ミントの根は深く張らないためバラの根とは干渉しにくいですが、葉が茂りすぎるとバラが蒸れることがあるため注意しましょう。
② 栄養の補完
Photo/3and garden
一部の植物は、土壌に必要な栄養素を供給したり、他の植物が効率よく栄養を吸収するのを助けたりします。例えば、マメ科の植物は空気中の窒素を固定し、土壌の栄養を改善します。
私はマメ科のスイートピーをバラの近くに植えています。バラの栄養補給をスイートピーが助ける裏技です! 同時期に咲くため景色もとても華やかになり、オススメです♪ 野菜のインゲンやエンドウの仲間も花が美しいので、庭の中に野菜を入れてポタジェ風にアレンジすると、さらに庭づくりが楽しくなりますよ。
このようにコンパニオンプランツを上手に組み合わせることで、庭仕事の効率を高め、植物の健康を促進し、害虫を抑えることができるのです。
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ポイント3
蜜源植物を植える
蜜源植物とは、ミツバチが蜜を集める花のこと。ミツバチに限らず、花の蜜を食料とする生き物たちにとって、生きていく上で欠かせない植物です。蜜源植物となる花を上手く取り入れることで、生物多様性が高まり、自然と害虫の数を減らすことができるでしょう。
園芸品種の花でも蜜源植物になる花はありますが、観賞用に改良された美しい花は、花弁が多くなる代わりに雄しべが退化したものや蜜が出ないもの、花粉が出ないものなど、本来備わっていた虫たちに必要な花粉や蜜が出ない植物がたくさんあります。ですから、意識的に蜜源植物となる種類を選ぶことが大切です。また、身近な野草にもたくさんの蜜源植物があります。
身近な野草、ヒメジョオンも活用したい蜜源植物の一つ。ON-Photography Germany/Shutterstock.com
私が活用しているおすすめの野草は、スミレ、タンポポ、イヌフグリ、ナズナ、ヘビイチゴ、カタバミ、ハルジオン、ヒメジョオンなど。名前をあげたらキリがありませんが、それくらい、私は野草を庭づくりに取り入れています。
野草のよいところは、草原のようなメドウガーデンにふさわしいナチュラルな雰囲気を作り出してくれることです。園芸品種のように目につく花の派手さはありませんが、素朴で柔らかな雰囲気がバラや他の草花を引き立ててくれます。
蜜源植物が多くなると、自然と庭に訪れる生き物が増えていきます。歩くたびに嬉しそうにチョウが飛び交い、小さな虫たちが花の上で宴を楽しみ、新しいカップルが誕生する姿を目にするたびに、私は幸せな気持ちでいっぱいになります。そんな、生き物たちが生き生きと伸びやかに躍動する庭を、蜜源植物が作り出してくれます。花を愛でるだけでなく、生き物たちが増えることで新たな発見や四季の移り変わり、感動を味わうことのできる庭になります。