今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、公的年金の繰下げ受給について。税金対策や公的年金の他に個人年金も受給する場合、どのようにすればお得なのかという50代女性からのご相談です。年金の繰下げ受給は受給額が増えますが、収入が増えると税金などの負担が増えるという問題も出てきます。税金対策や個人年金の受け取り方も合わせて考えてみましょう。

50代女性からの年金に関する相談内容

公的年金についてですが、受給時期を少しでも先延ばしにしたいと思っています。同時に税金対策も考えています。個人年金や他の収入があれば、かなりの税金を持っていかれると言う話も聞きます。

今後、繰り下げ受給と税金対策どちらも総合的に考えていきたいと思っていますが、個人年金の受給を遅らせた方がいいとか、公的年金は65歳から受給した方がいいなど、どのように考えていけば良いでしょうか?

(広告の後にも続きます)

公的年金繰下げ受給のメリットとデメリット


時間とお金
【画像出典元】「stock.adobe.com/Yuliia Sydorova」

老後資金の対策として、公的年金の受給を先延ばしして受給額を増やすという方法があります。受給額が増える一方で、収入が増えると税金や社会保険料の負担が増えるという問題も。また、個人年金を積み立てていた場合、さらに収入が増えますのでどのように受け取るか、また税金対策をどのように行うかは非常に重要な問題です。

まずは公的年金繰下げ受給のメリットについて見ていきます。

公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)は、受給開始を65歳から1カ月刻みで75歳まで繰り下げることができます。繰下げ受給の最大のメリットは「年金受給額が増える」ことです。

1カ月繰り下げるごとに0.7%増額されるので、70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると84%も年金額が増額されます。例えば、65歳で年間120万円の年金を受給できる人の場合、70歳まで受給を繰り下げると年間約170万円になります。この年金額を一生涯受け取ることができるので、長生きすることを考えれば繰下げ受給した方がかなりお得ということになります。

逆に公的年金繰下げ受給にはデメリットもあります。

最大のデメリットとしては、受給開始までの生活費を他の収入源で補う必要があるということです。繰り下げる期間が長ければ長いほど、その間の生活費を確保する必要があります。相談者の場合、個人年金に加入しておられるので、その期間に必要な収入を補うことができそうですね。

さらに繰下げ受給によって年金額が増えることで、税金や社会保険料の負担が増えるというデメリットもあります。せっかく年金額を増やしたのに手取り収入が少なくなっては繰り下げた意味がありません。仮に70歳まで年金を繰り下げても、手取り収入が42%増えるとは限りません。