「医療費控除」という言葉をご存じでしょうか?年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告を行うことで所得税の一部が戻ってきたり、住民税が安くなったりする制度です。医療費控除は基本的には病院に支払った医療費が対象ですが、2022年4月から指定運動療法施設など施設の条件が緩和され、スポーツジムの利用代金が医療費控除の対象となりました。今回はスポーツジムと医療費控除の関係を解説します。

要件緩和で医療費控除対象のスポーツジムが増加

日本では少子高齢化が進み、社会保障費の高騰が続いています。そのため日本の医療政策では、治療に加え、疾病の予防や重症化を防ぐという考え方がこれまで以上に重要視されるようになってきました。特に、生活習慣病といわれるような糖尿病や高血圧症などに関しては、予防や症状の改善のため運動療法が推奨されています。

そこで、スポーツジムの利用料を医療費控除の対象にすることで、より積極的に運動療法に取り組む人を増やし、医療費を抑えようという狙いがあるのです。医療費控除の対象となる施設の要件が2022年4月に緩和され、利用できる対象施設は増えてきています。

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スポーツジム代、医療費控除を受けるための3つの条件


医療費控除
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スポーツジムの利用代金全てが医療費控除の対象となるわけではありません。医療費控除が適用されるためには、以下の3つの条件が必要です。

医師の処方箋が必要

まず初めにかかりつけ医などに相談して、高血圧や糖尿病などの疾病に対する「運動療法」の処方箋を作成してもらうことが必要です。それに基づくスポーツジムの利用が医療費控除の対象となります。処方箋なしで指定のスポーツジムを利用するだけでは、控除の対象にならないので注意しましょう。

厚労省の指定施設を利用する

スポーツジムであればどこでも良いわけではなく、運動療法に適した施設として厚生労働省が指定した「指定運動療法施設」を使わなければなりません。2023年5月現在、全国で230 の施設が指定されています。これらの指定施設は公益財団法人日本健康スポーツ連盟のホームページから探すことができます。

週1回以上、8週間以上の利用をしている

生活習慣病などの予防や改善には継続的な運動が有効であり、一過性のものではなく習慣的な運動が必要とされています。そのため、医療費控除の対象とするには、「週1回以上」の頻度で「8週間以上」の継続したスポーツジムの利用が必要です。

このように医療費控除を受けるためには3つの条件を満たす必要があるので、スポーツジムを利用する前によく確認しましょう 。