デザインの固定観念を覆してくれたもの。
ユニセックスなジュエリーを手がけ始めた4年ほど前、パッケージに惹かれて手にした〈ロエベ〉のメンズフレグランス。内側がカーブしていて柔らかさを感じるガラス瓶に、和紙のようなラベル、シンプルなロゴの入り方、ウッド製のキャップ。美しいボトルには建築的な要素も感じて、自分らしいデザインを模索していたタイミングでインスピレーションの刺激になりました。香りはムスク系でソリッド。スパイシーさもあり、レディスのものよりも、当時の自分にはしっくりきました。その後、追加で2本買い、普段はドレッサーに並べています。バスルームに持ち込んだり、旅行のときは瓶のまま携帯したりしています。玄関のチェストにも置いていて、仕事に出かける前に、気合を入れたりモチベーションを高めるために吹きかけるのが、今では習慣に。
菅原美裕 Mihiro Sugawaraジュエリーデザイナー
〈LORO〉〈1117〉のディレクター、デザイナー。シンプルで着け心地がよく、世代を超えて愛せるジュエリーを手がけている。
illustration : Megumi Sasaki text : Shoko Matsumoto
&Premium No. 131 LONG-TIME STAPLES / 使い続けたくなる、愛しいもの。
ファッションやライフスタイルにまつわるもの選びにおいて、時間をかけて長く付き合っていく姿勢が、これまで以上に必要とされているように思います。でも、ただ漫然と「長く使い続ける」ことだけが重要ではなく、それを使ったり、身に着けたときに、出合った頃と変わらぬ「愛おしさが続いている」ことも、忘れてはならない大切な要素なのではと考えます。初めて手にしたときの高揚感、作り手のこだわりに惚れ惚れとしたこと、使い続ける日々の中で紡がれた大切な思い出……。そういったさまざまな「記憶」が、人とものを、長きにわたって、幸せなかたちで繫ぎ合わせていくのです。〈ミナ ペルホネン〉のデザイナー・皆川明さんをはじめ、たくさんの方々に「使い続けたくなる、愛しいもの」にまつわるエピソードについて聞いてみました。
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