俳優の松山ケンイチと小雪夫婦が手がける「モミジ」と沖縄のアップサイクルブランド「シマデニムワークス」がコラボ。その魅力を松山ケンイチにインタビュー

「momiji(モミジ)」が沖縄の「シマデニムワークス」とのコラボレーションデニムを発表。11月5日(火)までジェイアール名古屋タカシマヤ 8階特設会場で期間限定ショップを開催中。待望のデニムコレクションについて松山ケンイチが語ってくれた。

「モミジ」は2022年、俳優の松山ケンイチと小雪夫婦が立ち上げた。東京と田舎の2拠点生活を数年前からスタートさせたことがきっかけとなり、畑の作物に被害を与える猪・鹿・熊などの害獣が駆除されることを目の当たりにすることに。一部は食肉として活用されていても、副産物とも言える獣皮はほとんど活用されていない現状を知り、少量でも獣皮でアイテムが作れないかを模索。もちろん環境への配慮も考え、環境負荷が少ない方法で加工を行うタンナーを探し、捨てられてゆく獣皮を利活用している。ブランド名の「モミジ」の由来は鹿の別名である「もみじ」から付けられている。最近ではレザーグッズに加え、伝統工芸や多様な個性をもつアーティストとのコラボレーションも発表し、Tシャツ、スウェット、シルク100%の上質なスカーフ、傘など幅広く展開している。そんな、ブランドから今回待望のデニムコレクションが登場。


アウター¥440,000、パンツ¥60,500、バケットハット¥25,300

──沖縄のさとうきびから生まれたデニム「シマデニムワークス」とコラボするきっかけは?

これまで革ジャンやベストをメインに展開してきましたが、ブランド設立2年目の今年は幅広いアーティストの方々とコラボをさせてもらって、TシャツをはじめロンT、スウェット、スカーフ、傘、など色々とチャレンジして、レザー以外にもアイテムが増え、「モミジ」というブランド自体も少しずつ成長してきました。そこで、トータルコーディネートができる“デニム”を作りたいなと思っていて。やっぱり「モミジ」らしい、循環型のブランドさんとできればいいなと思っていた矢先に、あうん百科店を通じて「シマデニムワークス」さんと出会って。このブランドとデニムを作りたいと思ったのがきっかけですね。


パンツ¥66,000、バケットハット¥25,300

──「シマデニムワークス」はどんな点が「モミジ」の活動とマッチしたのですか?

簡単に言うと、「シマデニムワークス」さんは、さとうきびから砂糖を生産する際に残る「バガス(搾りかす)」をアップサイクルして、廃棄物を生まないオリジナルのデニム生地を作っているんです。まず、この廃棄物を生まないという素晴らしい取り組みにひかれました。デニムを作る糸について聞いてみて、さらにすごい取り組みだなと思いました。タテ糸にはコットン糸、ヨコ糸には搾りかすのバガスを粉砕してパウダー状にし、紙の原料の一部として和紙糸にします。バガス和紙糸を使用しすることで、 これまでよりも軽くて、吸水もよく速乾性もある和紙ならではの機能性を併せ持っているんです。染色もタテ糸は創業120年を超える染色メーカーで染めています。デニムは染色工程が問題になることが多いと思いますが、精製・洗浄時に電解水を使用し、化学薬品の使用量とCO2を削減したエコ染色に取り組んでいます。こうやって工程を並べてもすごい取り組みじゃないですか。

──デニムを作る上でこだわったポイントは?

染料にこだわって天然染料を使った藍染めを使用したエコ染色をしています。あとは、シルエットにこだわりました。というのも、僕は農作業とかアウトドアとかを頻繁にするので、座ったり立ったりすることがすごく多くて。そうするとタイトなシルエットだと動きにくいし、太すぎてももたつくので、動きやすいデザインにこだわりました。和紙でできているとは思えないほど生地はしっかりしているので農作業にもアウトドアにも合うし、それでいてシティではいてもらっても大丈夫なんですよ。デニムにジャケットを羽織ればディナーに行けるような、いろんなシーンで幅広く使ってもらえるように考えました。このデニムは男性用というわけではないので、サイズが合えばぜひ女性の方にもはいてもらいたいです。きっとカッコよくはけると思いますよ!


パンツ¥60,500、バケットハット¥25,300

〈左〉キャップ¥22,000、〈右〉バケットハット¥25,300

──今後の「モミジ」の取り組みについて教えてください。

今年はポップアップを中心にやってきました。そのポップアップの中で「Tシャツがあるといいね。スカーフとか傘もあったらいいね!」という感じでポップアップをしながら学んでアイテムを生み出してきた部分があります。でも、ようやく「モミジ」のブランドも道筋が見えてきたので、今後はポップアップを減らしていきます。来年は、元々やってきた革の開発に力を入れたいと思っています。革をメーカーさんや職人さんが欲しいと言って購入してくれることを目標に、国産の牛革、豚革、馬革、熊革にフォーカスしてプロが求める革を開発し販売するような流れにしていこうと思っています。革そのものの素材の事業と、革小物が少ないので小物のバリエーションも増やしていきたいですね。

それから、今年中にホームページとECサイトを作り販売できるように進めていきたいと思っています。話が少し変わりますが、社会全体的な話でいうと今、貧困の問題があるじゃないですか。どうこの世の中を生き抜いていくのかということをすごく考えています。まずは自分がいる日本のことですが、すべての人がこの世界を生き抜いていかなきゃいけないので、生き抜いていくための手段とかツールみたいなものを僕はみんなと共有したいと思っているし、それでSNSを一生懸命に発信しています。そのための生き抜いていくための引き出しを増やして、それをシェアできたらいいなと思っているからです。小さいことですが、僕ができるのはそういうところなのかなと思っています。

interview & text: Miyuki Kikuchi