文具のとびら編集部
東京インターナショナルペンショー実行委員会は、2024年11月2〜4日の3日間、東京都立産業貿易センター浜松町館4・5階展示室にて「東京インターナショナルペンショー2024」を開催した。
「東京インターナショナルペンショー」は「かく」を楽しむイベント。「かく(書く・描く)」をキーワードとして、 筆記具、インク、紙に関係するモノやコトを集める(商品販売、ワークショップ、セミナー等)。メーカー、ショップ、個人がその垣根を越えて楽しみ、 大人だけではなく、 成⻑していく子どもたちにも、 デジタルとは違う「かく」という時間を楽しんでもらうことを大きな目的としている。 さまざまな 「筆記具」による手書きを体験しながら、 かく「紙」や「色(インク)」にもさまざまな種類があることを知り、 普段の暮らしの中で経験できない発見や驚きを体験してもらいたいという。
7回目の開催となった今回は、3日間で約3,400人以上が来場。2023年に比べ約1,000名の増加となった。
また、特に海外からの来場者数が増加し、また海外の出展者テーブルにも日本人来場者が多く訪れ、積極的に交流・購入をする光景が見られた。「国際的な交流が広がり、より多様な文化が交わるイベントとなったことが印象的でした」と東京インターナショナルペンショー事務局はコメントしている。
文具のとびら編集部員は、イベント最終日の2024年11月4日に同イベントへお邪魔した。ずらりと並ぶ筆記具、インク、紙、ノート…「かく」にまつわる逸品の数々を、ほんの一部だが紹介したい。
「かく」にまつわる逸品がずらり
同イベントの開催記念として、限定万年筆と限定インクが販売された。万年筆はパイロットの「ライティブ」。2024年のペンショーのテーマである「ペンギンファミリーの世界旅行」ちなんで、ペンギンのデザインとなっている。インクは南極の海をイメージしたもの。どちらもチケット販売ページでの予約販売。
セーラー万年筆は、万年筆はもちろん、“じぶんに合った書きやすさが見つかる”新筆記具ブランド「TUZU(ツヅ)」や、100色以上のラインアップがある同社の万年筆用ボトルインク「万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml」から色を選んでペンにした「セーラーインクペン」(写真左下)などと展開。
寺西化学工業は、同社の展開する各種ガラスペンや「ギター 大正浪漫 ハイカラインキ」、ラメ入りの「ギタースパークルインキ」などのインクを紹介。
ナカバヤシは高級筆記具ブランド「TACCIA」を展開。写真左の漆万年筆は2025年春に発売予定だが、漆の定番色(黒・赤)とは一味違う色味が人気だそう。浮世絵をイメージしてカラー調色した「浮世絵インク」も紹介。
シヤチハタは、2024年10月1日から一般販売を開始したマスキングテープ用下地ペン「ジカケル」と、2024年11月5日に発売した水性染料インキを弾くスタンプパッド「Ukidel(ウキデル)」を紹介。「Ukidel」は同イベントで先行販売を行なった。
編集部員も2つの新製品をお試しさせてもらった。「ジカケル」は、マスキングテープに塗布して乾燥させると、水性インキでもはじかずに書けるようになるマスキングテープ用の下地ペン。今まではマスキングテープに万年筆や水性ペンで文字を書こうとは思いもせず、油性ペンを使っていた。万年筆で通常のマスキングテープ(写真左下の右側)に試筆してみると、案の定インクが弾かれてしまって全然描けない。しかし、ジカケルを塗ったマスキングテープ(写真左下の左側)には、ばっちりと色が乗っているのがお分かりいただけるだろうか。
これには本当に驚いた。まるで紙に書くような感覚で書くことができる上に、万年筆のグラデーションも表現されている。
「Ukidel」は手持ちのゴム印を押した印影の上から万年筆インクや水性ペンで塗ると、色を弾いてイラストが浮き出たように見えるアイテム。しっかりとスタンプしたイラストが浮き上がるのがとても楽しい(写真右下)。これを使ってインク見本帳を作ったら楽しそうだ。
伊東屋は、銀座駅に乗り入れる地下鉄の路線カラーをデザインしたガラスペンを先行販売(写真上)したほか、ディズニーの歴史を彩る数々の作品やキャラクターをモチーフとした万年筆インク「Disney100」や「ROMEO No.3」などのアイテムを紹介。
1.2.山形県のおかげさま文房具店。地元の畳店とコラボした畳がテーマの文房具「TATAMI papeterie(タタミパペトリー)」などを紹介 3.BUNGU BOXのオリジナルインク“肴町ほろ酔い” からインスパイヤされた「ほろ酔い」シリーズ。品のある紫が美しい 4.文具館コバヤシは、静岡の地名・名産・歴史にちなんだ名前がついた「静岡インク」やガラスペン、万年筆などを紹介 5.ノウトはインクを塗ったり、絵を書くことができる紙製の家「ぬりぬりライトハウス」をテスト販売、LEDライトを入れるとほんのり光がもれる 6.ぬりたくり絵のバイキング(ノウト) 7.職人が一冊ずつ手作業で模様を染めた美しいマーブリングノート(渡邉製本) 8.9.手作りのエボナイト万年筆。オーダーできるコーナーも(笑暮屋)
1.2.水性染料・微細顔料・パール粉末混合インク「KASANE」を紹介。自然素材から古典インクが作れるワークショップも実施(TAG STATIONERY) 3.4.「美しい新潟の色」をイメージしたボトルインクシリーズ「雪彩」から佐渡金山の世界文化遺産登録を記念した限定インクを紹介、たっぷりと大粒の金色のラメが入っており華やか(文具館タキザワ) 5.6.アート作品を表紙に装丁するアートノートブックと、作品中の象徴的な「いろ」をオリジナルインクに調色した数量限定のセット商品「美術のいろ」(エッグンワークス) 7.8.9.mizutamaさんとのコラボメモや、suicaペンギングッズ、森永製菓のラムネ専用ケースなどわくわくする品ぞろえのぷんぷく堂
会場では、日本手帖の会による「第13回 手帳100冊!書き比べ総選挙!!」も開催。100冊の手帳に直接書き込んで、書き心地や紙質を試すことができる。人気投票も行っており、熱心に手帳を書き比べる人で賑わっていた。手に取った重量感や手触りなど、なかなかお店ではチェックしきれない部分まで感じられる貴重なイベント。
出入り自由・無料のセミナーも7講座開催。編集部員はフリーアナウンサーの堤信子さんの講座に参加した。2024年4月に発売された「手紙の楽しみ」という新刊の内容をベースに、手紙を書くメリットやわくわくするような手紙のアイデアについてのお話を伺うことができた。「10円以下の少額切手をたくさん封筒に貼ってみる(写真右)」のアイデアなど、すぐに実践できそうなものもあり、講座の後にはすっかり”手紙を書きたい欲”が高まった。