彼女と初めて夜を過ごした翌朝…。隣にいる女を見た途端に、男の気持ちが冷めたワケ

今週のテーマは「初めてお泊まりをした後、急に男の態度が冷たくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:初めてお泊まりした翌日から、急に彼から連絡が来なくなり…これって、遊ばれた?

楓が家を去った後、カーテンの隙間から入る朝陽が眩しくて思わず僕はもう一度布団にくるまる。

そして布団の中で、昨晩のことを、もう一度自分の頭の中で整理してみた。

先日食事会で出会い、二度ほどデートをした楓。ハッとするほどの美人で、初対面の時から強く惹かれた。そして昨晩、うちに泊まることになった。

しかしこの後、連絡をするかどうか迷っている自分がいる。

「何だったのかな…」

一つだけ言えるのは、簡単に手に入ったから飽きた…とかではない。遊ぼうと思っていたわけでもない。

それ以上に、実は楓が家に泊まった際に、衝撃的なことが起きていたのだ。



A1:美人だったから。



楓と出会ったのは、友人から誘われて行った食事会だった。そして最初に楓を見た時、僕はとにかく驚いた。

― めちゃくちゃ綺麗な人がいるな…。

そう思い、僕は楓の隣をキープしながら積極的に話しかける。

「楓ちゃん、何飲んでるの?」

「私はハイボールいただいてます」

「そうなんだ。じゃあ僕も、次から楓ちゃんと同じのにしようかな」

そう言いながら距離を詰めつつ、楓との会話を広げてみる。

「楓ちゃんって、芸能人のあの人に似てるって言われない?」

黒髪ロングで、目鼻立ちがハッキリしている楓。ハッとするほど美人で、その雰囲気までもがある芸能人に似ていた。

「そんなことないですよ!」

そう言いながらも、まんざらではなさそうな楓。そんな楓が可愛くて、その翌週。『カルネジーオ イースト』でのデートに誘ってみることにした。

「この前はありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「楽しかったね」

今日も綺麗な楓。その顔面偏差値は高く、惚れ惚れするような美しさだった。

暖色の照明の感じも良く、デートにぴったりなこのお店で思わず僕はニコニコとしてしまう。

「楓ちゃんは、普段は何してるの?」

「私は歯科衛生士をしていて」

「え?そうなの?すごいね」

ワインを飲みながら、お互いの話をし合う。美味しい食事をしながら、お互いのことを色々と知ることができるのは楽しい時間だった。

「全然すごくないですよ。医者ではないですし」

「いやいや、すごいよ」

「晴翔さんは?何をされているんですか?」

「僕は商社に勤めているよ」

30代で年収は優に1,000万を超すし、余裕もあるほうだと思う。

「ちなみに…晴翔さんって、独身ですか?」

「え?もちろん!むしろ結婚願望、かなりあるよ」

それに今年で33歳だし、そろそろ結婚を決めないと…とは思っている。

だからこそ、僕は今真剣に付き合える子を探していた。

「どういう子がタイプとかあるんですか?」

「僕はそうだな…自分を持っている子かな。楓ちゃんは?今彼氏とかは?」

「今いないんです」

「え〜こんな美人なのに!しかも性格も良いし…世の中の男性は、見る目がないね」

楓ほどの美人だったら、引く手数多だろう。しかも楓は性格も良いし、「良いな」と思った。

結局この日はお互い話も盛り上がり、2軒目まで行って解散となった。そしてこの日から、僕は何かと楓に連絡をするようになった。



A2:すっぴんがあまりにも別人だったから



二度目のデートは土曜日だったこともあり、早い時間からの集合となった。

18時くらいから飲み始めたからだろうか。お互い酔いも回り、前回より距離も近い。

そして夜がふけるにつれ、楽しさも増してくる。1軒目を終え、2軒目へ移動しても僕たちは話し続けた。

「楓ちゃんといると、楽しいな」

「私も!晴翔さんといると楽しいし、もっと一緒にいたいって思っちゃう」

「何か、初めて会った気がしないんだよね。もっと前から知っていたというか…」

「わかる」

そんな会話をしながら、僕たちはお互い見つめ合う。そして気がつけば、手を取り合っていた。

― この流れと空気感……。

こうなると、もうパターンは決まっている。

何も言わないまま二人で一台のタクシーに乗り込み、僕の家を目指すことになった。

目の前のコンビニに一度寄ってから一緒に僕の部屋へ入ると、楓はキョロキョロと僕の家を見渡している。

「そんな見ないで(笑)何も出てこないよ」

「あ、ごめん。つい…。一旦、化粧落としてきても良い?」

「うん、もちろん」

洗面台に化粧を落としに行った楓を待ちながら、僕は少し照明を落としたりして準備をしていた。

― 明るすぎるのは嫌がるだろうな…。

そう思ったので、僕なりの配慮だった。しかし結果として、これがダメだったのかもしれない。

「私、すっぴんだとだいぶ違うから恥ずかしいな…」

そう言いながら、洗面所から戻ってきた楓。

「そうなの?照明が暗いから、わからないよ」

本当に、照明が暗かったせいで、僕は楓の顔がハッキリとは見えずにいた。

そしてもちろん、楓は色々と気にしていたようで事前に確認を取ってきた。

「晴翔くん。私は、一晩限りの関係とかになるのが嫌で…」

「もちろん。俺も33歳だし、“遊びたい”とかないよ。一夜限りで終わるとかは基本的にないし、ちゃんと考えてるから」

「ここまで来て…」とは思ったけれど、もちろん僕だって適当に遊ぶつもりはなかった。

だからこの時までは、本当に一夜限りのつもりはなかった。

しかし事を経て、目が覚めた時。僕はとても不思議な、イリュージョンのような光景を目にすることになる。

「おはよう…」

そう言いながら、眠い目をこすって隣にいるはずの楓を見てみる。

しかしそこには、僕がまったく知らない女性がいた。

― え……?誰…!!??

僕の目が悪いからだろうか。そう思ったけれど、隣にいたのは紛れもない楓だった。しかし別バージョンというか、眉毛がまったくない状態の楓がいた。

― 化粧を落とすと、別人過ぎませんか…?

ルッキズムになるから、そんなことで判断してはダメかもしれない。しかしあまりにもスッピンと化粧をしている時の顔が違い過ぎて、ショックで言葉を失ってしまった。

しかも本人にも自覚があるのか、じっと見つめる僕の視線を避けるかのように、そそくさと支度をして出て行ってしまった楓。

「ごめん、帰るね」

「え?うん、わかった」

そう言って去った後も、僕はしばらく呆然としていた。そして、自分の中で何かがサーっと引いていくのがわかる。

― 100年の恋も冷めるって、こういうことを言うのかな…。

最初からわかっていれば、違ったと思う。

しかしここまで化粧マジックがすごいとどうすれば良いのかわからない。それに今は、アートメイクとか色々あるだろう。努力次第で何とかなるはずだ。

― いや、でも僕がどうこう言う資格もないしな…。

せめて初回くらい…欲を言えば、もう少しだけ完全なるスッピンを見せる前にもっと仲良くなっておきたかった。

初めて家に来て、初めてのお泊まりなのに、気を許しすぎては?とも思う。そして完全なゼロ状態を見せられるとそれ以上深掘りする気も起きなくなってくる。

― でもいい子だしな…。

そう頭ではわかっているけれど、どうしても気持ちが追いつけずにいる。



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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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