11月22日は二十四節気の「小雪(しょうせつ)」。空気が冷たくなってきて、強い北風とともにかぜが流行しはじめる季節となります。この時期のかぜ対策で重要なのは、かぜの感染を防ぐ抵抗力と、かぜを引いてもすぐに回復できる自然治癒力の向上。東洋医学で抵抗力と自然治癒力を高めて、かぜの季節を乗り切りましょう。

かぜを引きやすい人と引きにくい人の違いは?

「小雪」は冬の2番目の節気で、日照時間は約10時間(東京の場合)。最も日が短い冬至の日照時間が9時間45分なので、かなり日が短くなってきました。北国ではこの時期から雨が少しずつ雪に変わりはじめ、初雪の知らせが届いてくるように。そろそろコートの出番が増えてきそうですね。

北風が強くなってきて、かぜの季節も到来です。かぜは漢字で「風邪」と書きますが、これは東洋医学が由来の言葉なんですよ。

自然の中では風が吹いたり、寒くなったり暑くなったりとさまざまな気候の変化がありますが、そうした気候の変化が通常よりも激しい場合、体に侵入して害を及ぼし病気を引き起こす原因となります。このような生活環境から体内へと侵入する病気の原因を東洋医学では「外邪(がいじゃ)」と呼び、そのひとつが風による害である「風邪(ふうじゃ)」なのです。

冬の風邪は、強い北風に加えて寒さが厳しくなったり、急激に寒くなるなどの異常な気候変化があると起こりやすく、その害が皮膚や口・鼻などから体内に侵入して悪寒や発熱などのかぜの諸症状を引き起こします。まさにこれから急激に寒くなる見込みなので、風邪に侵されてかぜを引く人が増えそうな気配ですよね。

でも、同じ環境にいても、かぜを引きやすい人とあまり引かない人がいます。いわゆる抵抗力(免疫力)の強さが関係しているわけですが、東洋医学ではこの抵抗力のことを「衛気(えき)」と呼びます。衛気とは皮膚などの体表面を活発にめぐって、外邪が体内に侵入しないようにバリアを張っているエネルギー。衛気が充実している人は風邪が体内に侵入しにくいためかぜを引きにくく、衛気が不足している人はかぜを引きやすくなるので、かぜを予防するには“衛気を増やすこと”が決め手となります。

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衛気(抵抗力)が不足しているかチェックしてみよう

まずは現在、衛気が不足しているかどうかをチェックしてみましょう。次のチェック項目に当てはまる数が多いほど、衛気が不足している可能性が高い状態です。

□気温に関係なく汗が出る、少し動いただけで汗が出る
□動くと息切れしやすい
□声に力がない、声が低く小さい
□せきがよく出る
□水っぽいたんがよく出る

チェック項目がひとつでも当てはまった人は衛気が不足している可能性があり、3つ以上当てはまった人は衛気が不足している可能性が極めて高い状態。衛気の不足は、不規則な生活や過労などによる衛気の消耗、体内で衛気を生み出す量が少ない、などが原因で起こります。まずは衛気の消耗を防ぐためにできるだけ規則正しい生活に近づけられるよう、日々の過ごし方を見直してみましょう。

体内で衛気を生み出す量が多いか少ないかは、肺のエネルギーが関係しています。東洋医学で考える肺の働きとは呼吸機能だけでなく、呼吸に合わせてエネルギーを全身にめぐらせる役割も含まれていて、衛気を体表面にめぐらせる働きも持つとされています。そのため衛気を充実させるためには、肺のエネルギーを補う食材をよくとることが大切。もち・もち米、やまいも、はちみつ、うなぎ、さばなどは、肺のエネルギーを補って衛気の強化を助けます。いつものごはんをもち米に変えたり、うるち米ともち米を混ぜて炊くだけでも手軽な風邪予防薬膳に。うるち米とは違ったもちもちした食感が楽しめますよ。

そのほか、首元をマフラーやストールなどでしっかり防寒することも忘れずに。首筋は風邪の侵入口となるので、北風にさらすのは禁物。うなじの周辺をカイロで温めることも風邪予防に効果的です。