イギリスならではのクリスマスのお菓子といえば、クリスマスプディング! そのずんぐりしたフォルムには、ドライフルーツがぎっしりと詰まっています。このプディングの美味しさは、じつは、1カ月ほど熟成させることで生まれます。熟成させるなんて、いったいどんなデザートなのでしょう。作り方を、イギリス菓子研究家でパティシエのTomoさんに教えていただきます。

みんな大好きクリスマス


ドアにはもちろん、クリスマスリース。

クリスマスは一年の中で、私が一番好きなイベントです。イギリスでは、家の中を飾り付け、家族で集まり、たくさんのご馳走を作っていただきます。ちょうど、日本で迎えるお正月と似たものがあります。クリスマスのご馳走の定番はローストターキー! 七面鳥の丸焼きです。嫌いな人もいますが、私は大好き。見た目は鶏と似ていますがだいぶ大きく、鶏肉よりややサッパリした風味です。日本だとなかなか手に入れるのは難しいですが、東京の外国人御用達のスーパーやインターネットなどで手に入れられますので、気になる方はぜひ試してみてください。

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クリスマスの定番デザート


美味しさの詰まったクリスマスプディング。

さて、イギリスのクリスマスのデザートというと、ポーチドペアーの回『クリスマスにぴったりの上品デザート、ポーチドペアー』でもご紹介しましたが、ドライフルーツたっぷりの、どっしりとしたクリスマスプディング、もしくは、クリスマスケーキが定番です。どちらもお酒の香る、どっしりと重いフルーツケーキ。とっても美味しいのですが、イギリスでも最近ではこういった重いケーキの人気はなくなってきているとも聞かれ、軽めのフルーツケーキやチョコレートケーキなど、ヘルシーなもののほうが喜ばれるようです。見た目が華やかなトライフル『イギリス生まれの真夏のスイーツ「サマートライフル」』も、クリスマスのデザートとして人気です。


マジパンに包まれたクリスマスケーキ。marilyn barbone/Shutterstock.com

こちらの、白いマジパンで全体を包まれているケーキが、イギリスの伝統的なクリスマスケーキです。ところで、クリスマスプディングとクリスマスケーキは何が違うのか。簡単にいうと、プディングにはドライフルーツの他にリンゴを入れて、蒸して作り、1カ月ほど熟成させます。一方のケーキは、マジパンとドライフルーツがたっぷりのケーキを焼いて、それをマジパンとアイシングでデコレーションします。こちらも、できれば数カ月前から作って、熟成させていくケーキです。

クリスマスプディングに使うリンゴは、加熱調理に向くクッキングアップル〈ブラムリーアップル〉が定番です。イギリスでよく使われるこの青いリンゴは、〈イブズ・プディング〉『秋のリンゴを楽しむイブズ・プディング』の回でもご紹介しましたね。


サクサクのタルトが美味しいミンスパイ(右)。

それからもう一つ、イギリスのクリスマスに欠かせないお菓子があります。それは、ミンスパイ。クリスマスプディングと同様の材料で作られる、〈ミンスミート〉という熟成させたドライフルーツのお酒漬けを、小さなタルトに詰めて焼いたもの、それがミンスパイです。

我が家ではクリスマスイブに、子ども達が寝る前に、サンタクロースのためのお菓子を準備します。ミンスパイにショートブレッド、ジンジャーブレッドクッキーをお皿に乗せ、紅茶かミルクを添えて、置いておくのです。サンタさんがあのお腹になるわけが、分かりますね!