今年で誕生から30周年を迎える本格麦焼酎「隠し蔵」。そのおいしさの秘密を探るため、鹿児島県いちき串木野市にある「濵田(はまだ)酒造」を訪れました。2日目は、3つある蔵のうちの2つ、「傳藏院蔵」で本格焼
1_原料の受け入れ・払い出し
焼酎の原料となる米や麦などの穀類原料を受け入れます。
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2_吸水・水切り・蒸し・冷却・種付け
原料の米や麦などに最適な量の水を吸わせる「浸漬(しんせき)」、浸漬させた米や麦の表面の水分を取り除く「水切り」を行います。蒸した米や麦の良し悪しが焼酎のできを左右するため、浸漬と水切りは非常に重要な工程です。浸漬と水切りを終えた原料は、「連続蒸米冷却装置」に送られ、蒸されます。その後、冷却し、種麹菌を散布します。
浸漬させた米や麦の表面の水分を取り除く「水切り」
蒸気の圧力や量を制御できる「連続蒸米冷却装置」。焼酎づくりに最適な「外硬内軟」、つまり表面はベタつかず、中はふっくらとしている状態の蒸麦や蒸米をつくることができます
3_麹づくり(製麹)
種麹菌を散布した蒸米や蒸麦は、回転式自動製麹装置に運ばれます。「製麹装置」の中では、温度が35~40℃、湿度は90%以上に保たれ、約2日かけて麹菌を繁殖させます。こうしてできるのが米麹や麦麹です。
「製麹装置」1台で、約10tの麹をつくることができます
実際に麦麹を食べてみるとほんのりとした酸味を感じました。「この酸味は麹菌がつくり出したクエン酸によるもので、この酸味がないと鹿児島の温暖な地域でお酒をつくることができないのです」と開発部長の竹迫さん
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4_一次仕込み
水と酵母を入れたタンクに麹を加えて約6日間発酵させ、もろみをつくります。この段階では、次の二次発酵で十分なアルコール発酵が行えるように、酵母を増やしていきます。
一次発酵室で麹が加えられているところ
原材料が発酵した一次もろみ(酒母)
5_二次仕込み
一次発酵でできた一次もろみに主原料(麦)と水を加え、10~15日ほどかけて発酵させます。二次もろみのアルコール濃度は、麦焼酎で17~18%ほどになります。
6_蒸留
二次発酵ででき上がったもろみを「単式蒸留機」で蒸留します。清酒などの醸造酒とは異なり、焼酎は蒸留酒なので、液体を蒸発させてその蒸気を冷やし再び液体に戻します。
こちらが蒸留室の「単式蒸留機」。もろみをこの「単式蒸留機」で一度だけ蒸留します
もろみの各成分の沸点の差を利用し、隠し蔵の香味となる成分を抽出しています
7_貯蔵・熟成
できあがった原酒は、タンク、樽、かめなどで貯蔵されます。
「隠し蔵」の樽貯蔵庫
8_サンプリング・割水
サンプリングの様子
9_ボトリング
その後、ブレンドや割水の工程を経て、ボトリングが行われます。
製造された焼酎は「傳藏院蔵」内でボトリングされます。この施設では、瓶、紙パック、ペットボトルなどのラインが用意されています
10_出荷
完成した焼酎は、全国各地や海外へと出荷されます。
こちらの「傳藏院蔵」は一般公開されておらず、このようなシークレットな場所で実際に焼酎の製造工程を見るという、とても貴重な体験ができました。次は場所を移して「薩摩金山蔵」へと向かいました。
蔵見学・トロッコ乗車体験 「薩摩金山蔵」
トロッコで巡る、金鉱山跡を活用した焼酎蔵
かつて薩摩藩の繁栄を支えた串木野金山跡に建つ、濵田酒造の3つの焼酎蔵の1つ「薩摩金山蔵」
濵田酒造には3つの異なる特性をもつ焼酎蔵があると説明しましたが、「伝兵衛蔵」のほかにもう1つ、一般の方でも焼酎蔵の見学が可能な蔵があります。それがこの「薩摩金山蔵」です。これまで紹介した「伝兵衛蔵」や「傳藏院蔵」とはまた異なる雰囲気ですが、金の鉱山跡地を利用した「薩摩金山蔵」では、トロッコに乗って坑洞内にある焼酎蔵を巡るユニークな体験が楽しめます。
「薩摩金山蔵」を案内してくださった蔵人・田淵 明さん
商品の運搬にも使用されているトロッコ列車に乗車し、坑洞内にある地下焼酎仕込み蔵の入り口まで700メートルほど移動します
350年以上にわたり掘り続けられた金山の坑洞の総延長は120キロメートルにも及ぶそうで、その一部に、かめ仕込みとかめ貯蔵の蔵を構え、江戸時代の製造方法を再現。現在、焼酎仕込み蔵や長期熟成貯蔵庫として利用されています。
さっそくトロッコに乗車。坑洞内は年間を通して気温19℃前後に保たれており、夏はひんやりと涼しく、冬はほんのり暖かいそう。およそ8分で地下焼酎仕込み蔵の入り口に到着。ここからは徒歩での見学となります。
坑洞内には、実際に金の採掘に使用されていた機械が展示されています
坑洞内にある島津義弘公がご祭神の「薩摩開運神社」
鉱山で働く人達の安全と繁栄を願ってつくられた「黄金の観音像」
金山の跡地を巡ったあとは、坑洞内の焼酎蔵へ。こちらでは江戸時代の酒づくりを再現して焼酎を製造しており、「どんぶり仕込み」というかめの中に麹・芋(麦など)・水・酵母をいっぺんに入れて発酵させる昔ながらの製法を用いています。
坑洞の奥まで1000ℓのかめがずらりと並みます。ここでは「薩摩焼酎 金山蔵」「薩摩焼酎 金山蔵 RED」などがつくられています
特別なボトルづくりができる「熟成と共に福来たり」も人気
また、一般の方の焼酎を蔵内で保管し、記念日などに届けることができる「熟成と共に福来たり」の購入も可能。最長5年間の保管が可能で、ラベルにメッセージを記入すれば、大切な方へのプレゼントにも最適です。
「薩摩金山蔵」には他にも「金山資料館」や売店の「蔵乃仲見世」などもあります。気になる方は、土・日・祝限定で行われている「焼酎蔵 薩摩金山蔵 見学ツアー」の公式サイトをチェックしてみてください。
ランチ 【伝兵衛のお食事処】
「伝兵衛」の食事処でマグロメニューをいただく
マグロのハラモ丼に、マグロカツ、ご飯、味噌汁などがついた季節限定『鮪三昧御膳』1,380円
ランチは「伝兵衛蔵」まで戻り、施設内にあるお食事処で季節限定メニュー『鮪三昧御膳』をいただきました。脂が乗りつつもさっぱりとした味わいのハラモ丼や、サクサクとした衣で揚げたマグロのカツなど、異なる調理法でマグロを楽しむことができました。
濵田酒造で製造している焼酎・リキュールを購入できる売店。一部試飲も可能です
最後にお土産を購入し、「鹿児島県いちき串木野市を巡る1泊2日の酒造プレスツアー」は終了。
今回、鹿児島県いちき串木野市と濵田酒造を訪れて感じたのは、職人たちの熱い思いでした。
焼酎の製造工程の見学ツアーでは、素材や製造方法、安全管理において一切手を抜かず、それぞれのポジションでプロフェッショナルたちが活躍している様子を目にし、その思いの深さを知ることができました。そのため、その後にいただいた焼酎は、より一層おいしく感じられました。
「傳藏院蔵」は一般公開されていませんが、「伝兵衛蔵」と「薩摩金山蔵」は一般の方でも見学が可能ですので、ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
本格麦焼酎「隠し蔵」
鹿児島のシラス台地の清らかな水と、厳選された大麦から生まれた本格麦焼酎「隠し蔵」。雑味のないすっきりとした原酒をゆっくりと樽で寝かせることで、琥珀のような美しい色合い、無類のコク、バニラのような芳醇な香りを持つ本格麦焼酎に仕上がります。
食事に合わせやすく、ロック、水割り、炭酸割り、お湯割りと、さまざまな飲み方で楽しまれている「隠し蔵」が、発売から30周年を記念し、キャンペーンを開催中。詳しくは、隠し蔵 30周年記念「選べる琥珀のときめきキャンペーン」公式ページをご覧ください。
施設情報
「傳藏院蔵」
住所:鹿児島県いちき串木野市西薩町17ー7
※一般の方の見学ツアーはございません
「薩摩金山蔵」
住所:鹿児島県いちき串木野市野下13665
問い合わせ先:電話 0996-21-2110 / FAX 0996-21-2511
「蔵見学」情報
所要時間約75分。事前予約制。
・トロッコ出発時間:①11:00~②14:00~ (1日2回実施)
・料金:試飲付きコース大人(20歳以上) 2,500円(税込)
試飲無しコース大人800円(税込)、小人400円(税込)
※いずれも予約料金で、当日料金は異なります。
・予約方法:お電話(0996-21-2110)または予約フォーム(https://ma.shochu.life/kinzan_tour_2024_)
・営業日:土日祝日のみ営業
※試飲付きコースは試飲のほかお土産付き
※ツアー内容は時期により異なります。詳しくはWEBサイトのお知らせをご覧ください。
「売店」情報
・営業時間:10:00~17:00
・営業日:土日祝日のみ営業