雨水が植物を元気にする! 雨水のメリットと水道水のデメリット


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水分供給という役割は同じでも、雨水は水道水と比べて、植物や土壌に異なる影響を与えることがあります。雨水と水道水の植物や土壌への影響について、比較して詳しく見てみましょう。

1. 塩素の影響

水道水には、細菌やウイルスを殺菌するための塩素が含まれています。塩素は植物にとって有害となる場合があり、特にデリケートな植物にとっては成長を妨げたり、根の健康に悪影響を及ぼすこともあります。さらに、土壌中の有益な微生物(バクテリアや菌類)も塩素で死滅することがあり、土壌の微生物バランスが崩れる可能性があります。

2. 窒素の供給

雨水には、植物の成長に必要な窒素が含まれています。雨が降ると大気中の窒素化合物が雨水に溶け込み、土壌に浸透します。植物はこの窒素を吸収し、葉や茎の成長を促進します。また、雷雨の後にはプラズマによって空気中の窒素が反応しやすくなって酸素と結合し、さらに植物が利用しやすい形で地上に降り注ぐため、雨後に植物がよく育つといわれています。

3. ミネラル成分の違い

雨水には、微量の窒素やカリウム、カルシウム、マグネシウムといった植物に有益なミネラルが自然に含まれています。これらは土壌に浸透して植物に吸収され、細胞の強化や代謝の促進に寄与します。特に自然環境では、山や森の中を通過して集まる雨水には豊富なミネラルが含まれています。

一方で、水道水にはこれらの成分が含まれていない場合が多く、逆に炭酸カルシウムなどの硬度成分が多い場合もあります。硬水は土壌のpHを変えてしまい、アルカリ性に傾きがちです。これにより、植物の栄養吸収が妨げられることがあります。

4. pHの違い

水道水は一般的に中性から弱アルカリ性ですが、雨水はやや酸性(pH5.5〜6.0)です。弱酸性の土壌は、多くの植物にとって良好な環境であり、土壌中の栄養素の吸収を助けます。特に植物の健康な成長をサポートする微量元素(鉄やマグネシウムなど)は、弱酸性の環境で植物に吸収されやすくなります。

一方、アルカリ性の強い環境は多くの植物に不適で、水道水によってアルカリ性が強まると鉄やマグネシウム、亜鉛といった微量栄養素の吸収が低下し、植物の成長が阻害される可能性があります。

5. 水道水に含まれるフッ素の影響

一部の地域では水道水にフッ素が添加されていますが、フッ素は植物にとって有害になる場合があります。特に、シダ類、ポトス、ランなどの感受性の高い植物はフッ素に影響されやすく、葉の縁が茶色く変色するなどの症状が現れることがあります。

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ひと手間かけるだけ! 具体的な水やりの改善方法


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ここまで見てきたとおり、植物に優しい水やりには、使用する水にも注意を払うことが大切です。そこで水やり前のワンポイントとなるのが、カルキ抜きのひと手間。蛇口から注いだ水をそのまま使うのではなく、塩素を抜くために、水道水を一晩置いてから使用するとよいでしょう。または、雨水を集めて利用する方法もおすすめ。雨水を利用すれば、ミネラル分や窒素も供給でき、水道代の節約にもなりますね。

ただし、雨水を溜めると、季節によっては蚊を発生させる原因になります。蚊が発生しないよう、水はこまめに使い切りましょう。


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