アスベスト調査の流れ
アスベスト調査は、主に「書面調査」「目視調査」「分析調査」の3段階で進められ、最後に「調査結果の報告」が行われます。
ここでは、各段階の具体的な流れについて解説します。
[1]書面調査
書面調査では、建物の設計図書などの書類から、アスベスト含有の可能性を確認します。建物の竣工年、使用建材の種類、過去の改修履歴などをリフォーム業者が確認します。
書面調査にあたって、設計図書などの書類を提供する必要がありますが、新築時・入居時に工事業者から受け取っているはずです。もし、紛失してしまった場合は、新築工事をした業者や購入時の不動産会社に問い合わせてみましょう。
[2]目視調査
書面調査で2006年9月1日より前に着工されている建物と分かった場合、目視調査が行われます。書面調査の情報を基に調査者が現場を確認し、天井裏や壁の中などの建材についてロット番号を調べ、アスベスト含有建材にあたるかどうかデータベース照合する調査です。
[3]分析調査([1][2]で調査完了できなかった場合のみ実施)
書面調査と目視調査でアスベストの有無が判断できない場合、分析調査が行われます。分析調査では、アスベスト含有の可能性がある建材から少量のサンプルを採取し、定性分析あるいは定量分析という調査をおこないます。
定性分析…顕微鏡を使用してアスベスト繊維の有無を確認する調査
定量分析…アスベストの含有率を測定する調査
分析調査には別途費用がかかるため、どこまでの調査をするかはリフォーム業者と相談しましょう。
[4]調査結果報告
全ての調査が完了したら、調査結果をまとめた報告書が作成されます。報告書には検出された箇所・危険性レベル・アスベストの種類などが記載されます。調査結果は、飛散防止工事の方法を検討する際に利用され、リフォーム会社の手元に3年間の保存するよう義務付けられています。
また、アスベストが検出された場合、工事開始14日前までに労働基準監督署への届け出が必要です。これはリフォーム会社にて対応してもらえます。
アスベストの調査は、基本的にはリフォーム会社に任せておけますが、以下の対応が必要です。
◯設計図面など必要な情報の提供
◯調査結果の説明を受けて、どこまでのリフォームをするかの判断
◯その他必要な判断
パートナーとなるリフォーム会社と情報共有しながら進めましょう。
(広告の後にも続きます)
アスベスト調査の費用は10~20万円が相場
アスベスト調査費用は、建物の規模や調査の範囲によって変動しますが、一般的な住宅リフォームの場合、相場は10~20万円程度です。内訳は以下の通りです。
20,000円~30,000円 |
20,000円~50,000円 |
30,000円~50,000円 |
なお、広範囲のリフォームなどで分析調査の必要な検体が多い場合は、さらに費用がかかることには注意が必要です。
例えば、壁・天井材ならせっこうボード、外壁材なら吹付塗料にアスベストが含有されている可能性があります。鉄骨造の住宅であれば、耐火性能を確保するため柱や梁を覆う耐火被覆材も分析調査の対象になるでしょう。
また、自治体によってはアスベスト調査・除去工事に対する補助金制度を設けているところもあります。例えば、東京都では各地域により補助金の補助要件や補助額が定められています。お住まいの地域が補助金の対象かどうか、確認してみてください。
(例)東京都文京区|アスベスト調査費助成
文京区では、条件を満たせば分析調査費用(消費税額を除く)の1/2かつ10万円又は20万円を限度に、アスベスト調査費が支援されます。
●助成対象となる建築物 民間の戸建住宅又は集合住宅等(集合住宅、事業所、工場、店舗、駐車場)※平成18年8月31日以前に建築された建築物であること ●対象建材 吹付け材、耐火被覆材、保温材、断熱材、仕上げ塗材 ●助成対象者 区内に建築物を有する者、区内にある分譲集合住宅の管理組合、区内に建築物を有する中小企業者 |
分析調査費用(消費税額を除く)の1/2かつ以下の限度額 戸建住宅:10万円 集合住宅等:20万円 |