薬膳の知恵できれいに。今回はうるおいや気力が上がる根菜類と腎を守り食物繊維も豊富なきのこを使ったレシピをご紹介。レシピは、根菜ときのこの豆乳グラタンです。




冬に老化が進むことを知っていますか?

中医学で「老化」とは、加齢にともない「腎(じん)」の働きが衰えて、生命エネルギーが減っていくことと考えられています。「腎」はからだの発育や生殖をつかさどり、生命エネルギーを貯蔵するもの。「腎」のエネルギーが衰えると、肌が乾燥してしわが増えたり、白髪や抜け毛が増えたり、足腰が弱くなったり。また疲れやすくなり、からだの衰え=エイジングを感じたりもします。陰陽五行の中で「冬」の季節は、「腎」を特に大切にしなければいけない季節なのです。

西洋医学的にも「腎臓」は、「老廃物を排泄する」だけでなく、尿の濃縮機能を使って体内の水分量を調節し、塩分やカリウムなどを調節してくれています。また、体内で常につくられている酸性の物質を腎臓から排泄し、からだを弱アルカリ性に保っています。そのほか腎臓は、血圧を調節するホルモンや造血ホルモン(エリスロポエチン)の産生など、内分泌機能もあります。さらに、ビタミンD3の活性化、リン排泄にも関与し、カルシウム・リンを中心とした骨代謝にも関っています。腎臓は、私たちの生命活動に関わる大切な臓器なのです。

では、日々の食事を通して、どう対処すればよいでしょう? 腎を守る食養生のポイントは3つ。

<黒い食材><うるおい食材><からだを冷やさない食材>です。

腎を補う食材は<黒い食材>です。黒豆、黒胡麻、黒米、きくらげ、海藻類、きのこ類、小豆、牡蠣、うなぎなど。

うるおいを与えてくれる食材は、<白い食材>です。れんこん、百合根、白きくらげ、豆腐、牛乳など。

からだをあたためる食材は、しょうが、長ねぎ、香菜、シナモン、八角、山椒、こしょう、にんにく、にら、かぼちゃ、にんじんや大根などの根菜類、羊肉、鶏肉、海老、鮭、鯖、もち米、黒砂糖、発酵調味料など。からだを冷やす生野菜は控えて、からだをあたためる温野菜がおすすめです。

からだをあたためるために、シャワーだけではなく、ゆっくりお風呂につかってくださいね。下半身をあたためることで血行をうながす半身浴がおすすめです。

今日ご紹介するのは、根菜ときのこの豆乳グラタンです。根菜類はうるおいや気力も上がる食材、きのこは腎を守る黒い食材で、食物繊維も豊富です。

今月のレシピ
根菜ときのこの豆乳グラタン


<材料>(2人分)
れんこん……200g
しいたけ……3枚
まいたけ……1パック

オリーブオイル……大さじ2
米粉または薄力粉……大さじ2

豆乳……500ml
玉ねぎ麹……大さじ3 または 顆粒コンソメ……大さじ1
塩……適量
白こしょう……適量
ナツメグ(あれば)……少々
ピザ用チーズ……適量

作り方
❶れんこんは食べやすい大きさの厚さ5mmに切る。しいたけは薄切り、舞茸は粗くほぐす。

❷フライパンにオリーブオイルをあたため、れんこんを炒める。れんこんに油が回ったら米粉(又は薄力粉)を加えて全体的に絡める。

❸❷に豆乳を少しづつ入れながら混ぜ、しいたけ、舞茸、玉ねぎ麹(又は顆粒コンソメ)を加える。時々かき混ぜながら、とろみが出るまで加熱し、塩、白こしょう、ナツメグで味を調える。

❹❸を油を塗った耐熱皿に移し、チーズをかけ、オーブントースターまたはグリルで色よく焼く。



橋本加名子(はしもと かなこ)

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1


文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC

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