冬は多くの植物が休眠状態になるため緑のボリューム感が失われ、庭が単調で平坦な印象になりがちです。そこで取り入れたいのが、目線が高くなるハンギングバスケットや鉢植え。地植え、鉢植え、花壇、ハンギングバスケットなど、さまざまなガーデニング手法を駆使して視線の先を花と緑で彩り、立体感のある美しい冬の庭景色を実現する武島由美子さんの庭を訪ねました。

コンテナ、花壇、ハンギング、リースの4重奏の立体ガーデン

ここは公道に面したエリアで、道ゆく人の目を楽しませる武島邸のフロントガーデンです。春にはつるバラがフェンスや壁に咲き誇り華やかそのものですが、冬もバラが咲かなくとも彩り豊かで見応えたっぷり。奥行き2mほどの場所ながら、手前から「コンテナ」、「花壇」、「ハンギング」、扉にかけた「リース」というように、さまざまなガーデニング手法を組み合わせ、視線の先を下から上まで花と緑で彩り、冬も華やかなフロントガーデンを実現しています。

冬の庭の素材はパンジー&ビオラなど草丈の低いものが多いため、地植えだけでは視線が下に集中し、庭が平面的な印象になりがち。これらの素材で華やかさを演出するには、いかに「立体感」を出すかがポイントです。武島さんの「コンテナ」、「花壇」、「ハンギング」、「リース」で構成された4重奏の立体ガーデンを詳しく見ていきましょう。

① 一番手前は石積みの花壇の手前に置いたコンテナ。透明感のある水色のビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’とミニサイズのハボタンを寄せ植えにした奥行き15cmほどの横長のコンテナがズラッと並びます。シンプルな寄せ植えを繰り返し並べることで、花壇の縁がトリムのように彩られ、おしゃれ度アップ。

② 高さ50cm、奥行き30cmほどの石積みの花壇にはパンジーとシルバーリーフのダスティーミラー、ストックを植栽。ストックは冬の花材の中では草丈が30〜40cmと高く、立体感が出る貴重な植物。甘い香りがするのも魅力です。柔らかなペールトーンでまとめながらも、パンジーに濃い色をプラスしてアクセントに。

③ ハンギングバスケットの一つは、コンテナの寄せ植えと揃えたビオラ‘ビビ ヘブンリーブルー’の単植。花壇にハンギングスティックを差して飾っています。草丈の低いビオラの花が、目線の高さで堪能できるのがハンギングバスケットの魅力。

もう一つのハンギングバスケットは、アイボリーのガーデンシクラメンやサーモンピンクのパンジー、イエローやシルバーのカラーリーフを用い、ペールトーンでまとめた一鉢。こちらはフェンスにS字フックで引っ掛けています。

④ 一番目線が高くなる、扉にかけたリースは、ハボタンとワイヤープランツの寄せ植え。リース形の寄せ植えをこのように扉などにかけて垂直に飾る場合は、高低差があまり出ない素材を選んで、ギュッと詰めて植えるのがポイント。隙間があると土がこぼれ落ちてしまいます。

玄関扉の横にはスクエアのコンテナの寄せ植えを。ブルーのパンジー‘シエルブリエ’を囲むようにシルバーや斑入りのリーフをたっぷり使い、冬のイメージを表現した上品な一鉢。コンテナも鉢の高さやプランタースタンドを用いることで、目線を上にコントロールすることができます。


レンガを積んだプランタースタンドにピンクの豪華な寄せ植えを。庭の中のアーチの両側に対になるように設置している。

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ガーデンチェアで作る冬の庭のハイライト

庭の中には数カ所にガーデンチェアが置かれており、その背もたれもハンギングバスケットやリースを飾る場所として活用しています。椅子の手前に寄せ植えを、背後にハンギングスティックを使ってハンギングバスケットを配置。ピンク系のパンジー&ビオラでコーディネートし、ここでも下から上まで目線の先を花が彩るように演出しています。


フリル咲きのパンジー、ハボタン、アイビーの3種を使ったリース。


白と黒のコントラストが美しいハンギングバスケットを飾ったチェア。手前に対のハボタンとドドナエアの寄せ植えを置いて。

ハンギングバスケットは地面のない場所でも飾れるのがメリットですが、引っ掛ける場所を必要とします。ガーデンチェアはテラスなどでも手軽にハンギングバスケットが飾れるツールとして活用でき、庭風景にもナチュラルになじむのでおすすめです。