セレクト4
スピゲリア ‘リトル レッドヘッド’

真っ赤なつぼみと整った星形の花が可愛らしく、耐寒性・耐暑性も備えた多年草で、花後に切り戻すと何度も咲く四季咲き性も魅力です。
あまり聞きなれない名前と見たことのないフォルムの花でしたが、数年かけて試験栽培をしたところ、じつに優秀なことから2024年より販売を開始しました。現時点、国内で苗はほとんど流通していません。

自生地は、アメリカ南東部~中西部(主にニュージャージー州南部からフロリダ州、テキサス州)の内陸部で、森の中や渓谷、小川の付近。半日陰や暗い場所に生えていることから、現地ではあまり目立たない存在でした。しかし、90年代にヨーロッパに持ち込まれ、あっという間に大ヒットになった植物で、ヨーロッパ、特にイギリスでは人気です。

現地では日陰に生えているため花つきが少ないようですが、日向に植えると花つきは抜群。しかも花後に切り戻すと何度も開花します。長野県での栽培では、晩春に最初の花が咲き、半分ほどの高さで切り戻すと初夏に再び開花。この作業を繰り返すことで真夏、秋と年に4回も咲き、繰り返し咲く生命力の強さと花期の長さにとても驚きました。
小花ながらも、目を引く鮮烈な花色。
姿もコンパクトであまり伸びず、株の広がりもゆっくりで、数年かけても草丈は30cmほど。場所もとらず、狭い場所でも植えられ、鉢植えにも向いています。赤く尖ったつぼみが開き、黄と赤の鮮烈な星形の花は小輪なので、宿根草やカラーリーフと一緒に植えても主張しすぎず、ポイント的に使うのもおすすめです。

花色からトロピカルな雰囲気を感じますが、暑さにも強いうえ、寒さにも強い性質です。マイナス15℃程度になる長野でも難なく越冬しました(冬に地上部がなくなり翌春に芽吹き、順調に大きくなりました)。
※この植物は全草にアルカロイド、スピギリンを含み、特に根には麻薬作用や駆虫成分があるといわれます。園芸植物には毒性のある植物が多々ありますが、本種も多量に摂取すると非常に危険といわれております。食用は絶対せず、ペットやお子様には十分にご注意ください。
【Data】
■ マチン科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名:Spigelia marilandica ‘Little Redhead’
■ 別 名:スピゲリア マリランディカ(学名) 、ウッドランドピンクルート、インディアンピンク など
■ 花 期 : 春~秋
■ 草 丈:30~60cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:20~45cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(-12℃~-15℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:日向~明るい半日陰
■ 原産地:アメリカ(主な自生地)
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セレクト5
メリニス ‘サバンナ’

ブルーグリーンの葉とルビーレッドの穂の組み合わせが美しく、草丈も程よい高さで人気のグラス類です。切り花では「ルビーグラス」の名前で古くから流通していますが、意外に苗の販売は少なく、問い合わせが多くありました。穂が美しいグラスは大型のものが多い中、本種は穂が出ている時期でも草丈が50cm以内に収まるので、扱いやすいグラスです。株の生育もゆっくりで、草花と一緒に植えて楽しめます。

春からブルーがかった明るい緑色の葉が芽吹き始め、6月中下旬になると赤みの強い穂が上がります。穂は満開を過ぎると弾けてピンク色のふわっとしたワタ状の種子に変わります。穂は次々に上がるので、咲き始めの赤い穂とワタ状のピンクの種子が同時に楽しめます。庭に一株植えておけば、次々と上がる穂を切り花にしたり、ドライフラワーにしてインテリアに飾るなど、暮らしの中でも楽しめます。
大株になると無数の穂があがり、風に揺れて風情があります。
暑さに強い性質で、真夏から秋まで長期間、穂を上げます。気温が下がる晩秋頃には、葉がピンク味を帯びて紅葉するのも魅力です。暖地ではそのまま葉が枯れて越冬します。寒冷地では戸外で越冬できない場合もあります(寒冷地では霜よけ程度のハウスで越冬。ある程度の耐寒性も備えています)が、一年草扱いでも、長期間十分に楽しめ、種子を採り播きすれば毎年育てることもできます。

日向で風通しがよく、乾きやすい場所が適地です。水はけのよい場所に植えてください。多湿は嫌いますが、乾燥には強いです。場所さえ選べば放任で気軽に育てることができます。
【Data】
■ イネ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名:Melinis nerviglumis ‘Savannah’
■ 別 名:ピンク・クリスタル、ルビーグラス など
■ 花 期:初夏~晩秋
■ 草 丈:30~50cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:30~60cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:普通(-5℃~-8℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:日向
■ 原産地:南アフリカ(原種の主な自生地)
Credit
写真&文 / 荻原範雄
– 「おぎはら植物園」店長 –
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。