
40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌『グリーン情報』最新号から最新トピックスをご紹介! 2025年1月号の特集は、「躍進する植木生産地・鈴鹿から」。ほかにも、「第41回全国都市緑化かわさきフェア」の各会場レポートや、話題の園芸店紹介、園芸業界で押さえておきたいトピックスなど、注目のテーマが盛りだくさん。業界誌だからこそ発信できる貴重な情報の一部をお見せします。
特集:「躍進する植木生産地・鈴鹿から」

今号の特集は、「躍進する植木生産地・鈴鹿から」。
庭づくりや街の緑化に欠かせない植木。しかし、生産現場は資材の高騰や後継者不足などさまざまな問題を抱え、国内での供給不足を引き起こすまでに疲弊しています。この逆境に負けず、植木生産で活気づく地域があります。
その一つが、三重県鈴鹿市。60年ほど前はサツキの生産地として有名でしたが、現在はその生産技術を活用し、2〜4代目の若き生産者がサツキに限らずさまざまな植木を生産しています。
本特集では、鈴鹿市が植木生産に適している理由や、8人の若手植木生産者がそれぞれに紹介するイチオシ樹種、花大国オランダの視察ツアーの様子などをご紹介しています。
ここでは、若手植木生産者8人が自身の生産樹種から選んだ3つのイチオシ樹種をご紹介します。
松寿園
松寿園の3代目、木村光男さん。オタフクナンテンを中心にローメンテナンス植物の生産に取り組む。
イチオシ① オタフクナンテン

ボリュームのある作りにこだわっています。
イチオシ② 矮性ナンテン「レモンライム」

特徴ある葉色の品種が多く、生長は遅く管理が楽。
イチオシ③ テマリシモツケ「ゴールデンパナシェ」

たくさん花をつけ、花色・葉色にそれぞれ特徴があります。
(株)久保田園芸
久保田園芸の久保田彰さん。生垣用樹をメインに生産し、ふるさと納税サイトにも出荷している。
イチオシ① レッドロビン

刈り込みに強く、真っ赤な新芽が特徴。
イチオシ② トキワマンサク「白花玉」

4月に白い花を咲かせます。丸い形で可愛い品種です。
イチオシ③ トキワマンサク「赤花」

4月に赤い花を咲かせ、葉色も赤い品種です。
(株)岡本緑花
岡本緑花の岡本高光さん。サツキ・ツツジの生産から、海外の改良品種生産にシフト。
イチオシ① ルコテー「マキアージュ」

病害虫に強く、コンパクトに育ちます。
イチオシ② パンパスグラス「タイニーパンパ」

背丈80cm。コンパクトなパンパスグラスです。
イチオシ③ カレックス「エヴァーシーン」

庭のアクセントにぴったり。
長谷川園芸
長谷川園芸の長谷川敦也さん。地被植物類をメインに海外から入ってきた珍しい植物も生産。
イチオシ① ハイネズ「ブルーパシフィック」

横に這う樹形でグラウンドカバーとしての利用が多い品種です。
イチオシ② ベニシダ

日陰を彩る植物。葉は光沢があり、存在感があります。
イチオシ③ サンブカス「ブラックレース」

パープルブラックの切れ込みのある葉が特徴。
秀華グリーン
秀華グリーンの舘秀樹さん。日陰でも育つシェードプランツに注力して生産している。
イチオシ① シルバープリペット

白い斑入り葉が特徴。刈り込みに強く丈夫です。
イチオシ② アオキ「ピクチュラータ」

光沢のある中斑葉が日陰でもポイントに。
イチオシ③ プリベット「レモンライム」

鮮やかなレモン色とライム色が魅力です。
(有)清光園
清光園の2代目、久保田英敬さん。緑化材料となる樹種のポット栽培をメインに、新たな商品開発にも挑戦中。
イチオシ① ツツジ「カッパーエバー」

年間を通してシックな葉色が楽しめる珍しいツツジ。
イチオシ② 三重サツキ「大盃」

一重咲きのもっともメジャーなサツキ。国内ほぼ全域での植栽が可能です。
イチオシ③ サルココッカ「ウィンタージェム」

従来のサルココッカに比べ、樹高が低く、分枝がよい品種です。
養楽園
養楽園の4代目、犬飼一貴さん。生産卸売業からポット栽培メインに切り替え、低木を幅広く生産している。
イチオシ① オオカナメモチ「ピンククリスピー」

大きな斑入り葉とピンクの新芽が特徴。
イチオシ② カナメモチ「チコ」

コンパクトな樹形で、新芽が秋から真っ赤になります。
イチオシ③ シャリンバイ「ペリドット」

枝数が多く、花が一面に咲きます。コンパクトな品種です。
(有)旭博園
旭博園の3代目、舘信次さん。生垣材のほか、デザイン性の高い刈り込みやスタンダード仕立てなども手がける。
イチオシ① シルバープリベット

地中容器でのボリュームある大株の商品。
イチオシ② レイランディー

円錐形の刈り込み物とスタンダードの仕立物。
イチオシ③ ニオイヒバ「エメラルドグリーン」「ヨーロッパゴールド」

露路と地中容器での生産。
そのほか、本誌では、オランダからの視察ツアーを参加者のコメントや写真付きでご紹介しています。
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ピックアップ:市内全域に緑があふれる「第41回全国都市緑化かわさきフェア」
第41回全国都市緑化かわさきフェア(以下かわさきフェア)の「2024年秋」が、2024年10月19日から11月17日までの30日間開催されました。
富士見公園、等々力緑地、生田緑地の3つをコア会場に、緑を感じられる「まちなかみどりスポット」を設定。市内全域を会場とし、かわさきフェアを目的に訪れた人だけでなく、通勤や通学でまちを歩く人々にも緑を楽しんでもらうための展示がされていました。
このフェアは全国初の秋・春2期開催で、2025年春にも予定されています。ここでは3つの会場の秋の様子をご紹介します。
富士見公園会場
「多様性×みどり」をテーマとした富士見公園は、JR川崎駅から徒歩15分ほどの場所にあります。その通り道となる市役所通りには、高校生や企業が制作したオープンテラスやデザイン花壇が設置され、会場までを華やかに彩り人々の目を楽しませていました。富士見公園には、メインガーデン「カラーズフューチャーガーデン」、「庭園出展コンテスト」の受賞作品、「全国造園デザインコンクール」の受賞作品である「川崎の藍染め」、垂直花壇バーティカルガーデンズなどが登場。美しさはもちろん多様な技術も注目を集めました。
メインガーデンである「カラーズフューチャーガーデン」。見る角度によって違った表情を見せてくれる。
「庭園出展コンテスト」でみどりのワークスペース部門・国土交通省大臣賞を受賞した「笑和(えな)〜杜のせせらぎの中で」((株)竜門園)。せせらぎの音や周囲を囲むみどりに癒やされ、笑い和みあえるワークスペース。
垂直花壇バーティカルガーデンズ。さまざまな環境条件やニーズに応じた壁面緑化技術が展示された。
川崎市の伝統工芸品・藍染めをテーマにした「川崎の藍染め」(神奈川県立相原高等学校 櫻井心捺さん)。青空のような藍染めの布が来場者の目を引いていた。
等々力緑地会場
等々力緑地のテーマは「体感・体験×みどり」。メインガーデンは、全長75mの「アクティブガーデン」。視覚エリアには、横や下から水生植物が見られる「シースルー植栽」や、ルーペで植物を観察する「It’s a マイクロワールド」。聴覚エリアには、「ざわざわ」「そよそよ」などの文字と植物が一緒に展示された「サウンドガーデン」など、五感を刺激する展示が行われました。
植物の音を可視化したサウンドガーデン。
ルーペをのぞくと植物をしっかり観察できる「It’s a マイクロワールド」。
風圧を効率よく分散させるカラマツ材(岩手県産)のアーチ状フレームとワイヤーネットを使った「木陰のトンネル」。
紫を基調に集めた、食用ではないがつい食べたくなる「味わえそうな植物」たち。ガーデンシクラメン「ライトバイオレット」やトウガラシ「カリコ」など。
生田緑地会場
生田緑地のテーマは「歴史・文化×みどり」。「藍と霧のメタセコイア」では、風に揺らぐ藍染めの布と木々を縫うように広がる霧が、厳かに立つメタセコイアの魅力を引き立てるなど、自然美を生かした展示がされていました。
また、生田緑地東口から歩いて約15分のばら苑でも、花やビー玉でかつてのカスケードを再現した「思い出のカナール」など、特別演出が実施されていました。
「藍と霧のメタセコイア」。落ち着いた雰囲気で、生田緑地の歴史を感じさせる場所。
「みんなで創る竹灯籠」。放置竹林による竹害の解消を目指す地元団体「かわさきあかり」の作品。
ばら苑では、バラと多様な草花を組み合わせ、美しい景観を作り上げていた。
かわさきフェアの「2025年春」は、3月22日(土)〜4月13日(日)に同じ3会場で開催予定です。訪れてみてはいかがでしょうか。