春爛漫の季節になると、絨毯を敷き詰めたような彩り豊かな景観をつくる芝桜。北海道や富士山周辺など、観光名所として知られるスポットが全国各地にあります。地面を覆い尽くすように密生する性質は、庭のグラウンドカバーにも最適。丈夫で育てやすいので、園芸初心者にもおすすめの植物です。植え付けに適した時期や管理方法など、ちょっとしたコツをおさえて、春の庭を鮮やかに彩ってみませんか。

芝桜の基本情報


optimarc/Shutterstock.com

植物名:シバザクラ
学名:Phlox subulata
英名:Phlox subulata
和名:芝桜
その他の名前:モスフロックス、ハナツメクサ
科名:ハナシノブ科
属名:フロックス属
原産地:北アメリカ東部
形態:多年草

芝生のように地面に広がり、桜に似たピンク色の花をつけることから「芝桜(シバザクラ)」と呼ばれる春に咲く植物です。山の斜面や丘陵といった広大な面積を、ピンクに染め上げる様子は、いまや日本の春の風物詩。桜前線の後を追うように、日本列島の名所を北上していきます。

目を引くのは4~5月の花の時期ですが、じつは常緑の多年草です。まずは、どんな植物なのか、その特徴を見てみましょう。

(広告の後にも続きます)

芝桜の花や葉の特徴


Przemyslaw Muszynski/Shutterstock.com

園芸分類:草花(常緑性)
開花時期:4月上旬~5月下旬 ※地域差あり
草丈:10~100cm ※茎の長さ
耐寒性:普通~強い
耐暑性:普通~強い
花色:白、ピンク、紫、青、複色

地上を這う茎の節から発根して増え、草丈10cm程のマット状になる芝桜は、北アメリカ東部原産。ハナシノブ科フロックス属の多年草です。現在は多数の園芸品種があり、花色も濃い桃色から、淡いピンク、白、パープルとバラエティに富んでいます。桜が散った後に、地面を覆い尽くすようにピンクの可憐な花が咲くことから、日本では「芝桜」という名前で愛されています。そのほか「モスフロックス」や「ハナツメクサ」という別名もあります。

密生した枝には、披針(ひしん)形または針状の硬い小さい葉が付き、4月上旬から5月(地域によって異なる)に直径2cmほどの5弁花が茎葉を覆い隠すように咲きます。

観光地では花の時期のみ注目が集まりますが、じつは常緑。グラウンドカバーはもちろん、土の流失を防いでくれるため、斜面や花壇の縁取り、石垣などの植栽に活用されています。

日向で、水はけがよい土壌を好むので、傾斜地や石垣のような水が溜まりにくい場所は、芝桜にとっても適した環境。耐寒性があり、病害虫もほとんど発生しないので、手間がかからないのも魅力です。