今いちばん、東京を自慢したくなるスポット。豊洲のチームラボがパワーアップ

文:稲垣美緒(Harumari TOKYO)

身体全体を使って、アートに飛び込む

1月22日、新豊洲駅ほど近くのチームラボプラネッツが大規模リニューアルを迎えた。展示面積が約1.5倍に拡張され、「運動の森」や「つかまえて集める森」を含む新作ゾーンが追加。体験型アートの象徴ともいえるこの施設が、新たな視点とともにさらなる魅力を発信している。

特に注目すべきは、訪れる人の身体を思い切り使って楽しむ新作だ。

「運動の森」は、身体全体を使いながらアートに没入する空間。跳ねる床や滑り台のような仕掛けにより、訪れた人々が自然とアートの中に溶け込むよう設計されている。

滑り台を滑ることでデジタルの植物が育つ《すべって育てる!フルーツ畑》は、身体の動きがアートの一部となる新しい体験を提供している。

行ったことのない人や、初期のチームラボを一回だけ体験したことがあるという人にとっては、「映え写真が撮れる」「アートが動く」「こども向き」などのイメージを持っているかもしれない。だが実際に行ってみると、鑑賞者の動きに合わせてアートが変わるインタラクティブの技術は年々パワーアップしており、10年前から考えるとまったく別の体験ができるようになっているといっても過言ではない。

童心に返って楽しめるだけでなく、テクノロジーの進化を体感できるのもまさに大人だからこそ。身体や、心を動かす大人のエンタメとして、とにかく楽しいひと時が過ごせるだろう。 スマホと連動した遊びや、施設内で描いた絵を缶バッチ・Tシャツ・タオルなどのプロダクトにして持って帰ることもできる。一緒に行った友人と動画や写真を撮り合うだけでももちろん楽しいが、それだけじゃないのが今のチームラボプラネッツなのだ。

(広告の後にも続きます)

楽しみながら「未来を考える」

さらに注目してほしいのは、今回新たに加わったSDGsの観点を取り入れた作品群だ。「つかまえて集める森」は、絶滅種の動物たちを専用アプリで捕まえコレクションする体験を通じ、生物多様性について考える機会になる。捕まえた動物はデジタル図鑑に記録され、そこから自然環境や絶滅危機の背景を学ぶ仕組みだ。

そして、チームラボプラネッツの象徴ともいえば既存作品《Floating Flower Garden》(蘭の庭)。美しい写真や動画を撮れることもあり、国内外から多くの人を魅了する大人気の作品だ。

蘭が人の動きに反応して上下に動きながら訪れる人々を包み込むこの空間は、生命の調和や自然との共生を象徴してきた。この作品では生の蘭の花が使われており、「この後この花たちはどうなるんだろう?」と気にしていた人もいるだろうが、今回のリニューアルで新しくできた「Orchid Glass Garden」では《Floating Flower Garden》の蘭の花が散った後、再び育成している空間でお茶やお酒を楽しむことができるようになっている。「Living Art Store」では再育成された蘭を持ち帰ることもできるのだ。

その場の美的体験に留まらず、SDGsの観点が新たに加わり、「自然の美しさ」と「環境課題の現実」という対照的なテーマが提示されている。この対比こそはまさに時代の象徴。静かに呼吸する蘭が描き出す永遠の調和と、アクティブに課題解決を促す新作品群。これらが一体となったチームラボプラネッツは「今を楽しむ」だけでなく、「未来を考える」場へと進化した。

そんなことを考えながらも、やはり感想は、シンプルに「めちゃくちゃ楽しい」の一言。新生チームラボプラネッツは、語り尽くせない魅力、刺激、学びにあふれているのだ。海外の人たちが驚きながら楽しんでいる姿を見ると、東京という街が誇らしくなってくることだろう。

チームラボプラネッツ TOKYO DMM

東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO

https://www.teamlab.art/jp/e/planets/

写真:チームラボ 展覧会⾵景「チームラボプラネッツ TOKYO DMM. com」 2018 豊洲 東京 © チームラボ, Courtesy Pace Gallery