
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2024年2月3日から二十四節気は立春に
立春とは、二十四節気の一番目の節気で、暦の上ではここから春がはじまります。
節気は春に入りましたが、実際の気候は冬の最中。でも、花屋は春真っ盛りで、春の花が豊富に揃う時季です。
そんな春の花の中から、今回は古くから親しまれてきた、香りのよい「ストック」がテーマ。素朴で懐かしい雰囲気があるストックのイメージがちょっと変わるような花あしらいをご紹介します。

ユニークな花器を使ってみる
まるでオレンジジュースが入っているようなデザインの花瓶に、淡い黄色のストックをあしらいました。
色付きの花器は難しく感じるかもしれませんが、こんな風に花の色と器の色を合わせると、少ない本数でも華やかです。ここでは3本のストックを使っていますが、茎が枝分かれしているので、短めに切るとブーケのような雰囲気に。
花瓶以外にも、マグカップや空き瓶など、色がある器で楽しんでいただきたい花あしらいです。

試験管をつなげた花器に、ピンクのストックと「コデマリ」をあしらいました。
挿し口がいくつもある花器は少ない本数でも簡単にバランスよく生けられますので、持っていると便利な器のひとつです。
この花あしらいでは、枝分かれしている部分でカットしたストックを1本ずつ生け、アクセントにコデマリを添えました。
春が盛りのストックとコデマリは春らんまんの雰囲気になる、相性ぴったりの組み合わせです。

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春ならではの組み合わせを楽しむ
ストックに「斑入りコロニラ」と、春だけ出回る「ゼンマイ」を合わせました。
どれも線の細い植物なので、細い花器を選んで縦のラインを強調しています。花器は一つだけでもよいのですが、大小の花器を組み合わせると、空間に広がりを感じる花あしらいになります。
もし、生けた花に対して、空間が広いと感じる場合には、この写真のようにトレイを使うとバランスが取りやすくなるかと思います。
特に春は旬が短い植物が次々と出てきますので、気になるものを見つけたら、即決するのがおすすめです。

今度は春の野山をイメージして、ストックとコデマリを生けました。
コデマリの動きを活かして、あちこちに向けて生けると自然な雰囲気になります。一見すると剣山や給水スポンジを使っているように見えますが、実は余った枝を使って花を留めています。

枝を使った花留めのやり方はさまざまありますが、ここでは、器の内側にあわせて枝を切り、(洗濯バサミの要領です)枝の端に入れた切り込みで花を留めています。

花留めの作り方はとても簡単。花材を挟むための切り込みを入れるだけです。今回は花材としても使用しているコデマリの枝を使いましが、他にも雪柳など弾力がある枝は花材を挟みこみやすいのでおすすめです。
